いつの時代もポルシェを象徴する存在であり、スポーツカーのベンチマークとも言える「911カレラ」。2011年夏にデビューした現行の7代目(991型)は、15年に行った改良で心臓部を自然吸気(NA)から同モデル初となるターボエンジンに切り替えるなど、大幅な変貌を遂げた。今回試乗したのは7速MTモデル。路面すれすれにセットされた超低視点のドライバーズシートに収まり、箱根のワインディングを目指した。(文・写真 大竹信生/SankeiBiz)
実は四駆モデルに乗る予定だった
ブレーキとクラッチペダルを同時に踏みながら、イグニッションキーをひねってエンジンに火を入れる。
「ブボボボ… ブウォン!!!」
「おぉ! けっこう派手な音を出すなぁ…」-。いきなり想像以上の猛々しい轟音で“威嚇”されてしまった。もしかしたら「オレのことを甘くみるなよ」とでも言っているのだろうか。
というのも、実は今回の取材はカレラの走行性能をさらに高めた「911カレラ 4 GTS」のPDK仕様(=オートマチックトランスミッション)で予約を入れていたのだが、ちょっとした取り違いなどもあり、911カレラの7速MT仕様が用意されたのだ。もともと提案されていたのがこの2つのモデルで、どちらかといえば高性能四駆モデルの「4 GTS」に惹かれていたのは事実だが、全てのカレラシリーズの根幹をなす最もベーシックなモデルで“素”の走行性能を確かめたいという気持ちもあった。どちらを選ぶか最後まで迷っていたのだ。