タイ、高速鉄道計画棚上げも 政治混乱など影響 日中仏が受注争奪戦

 

 タイの高速鉄道建設計画が棚上げされる可能性が浮上した。5月に軍事クーデターまで過熱した政治混乱や、第1四半期(1~3月期)の成長率が0.6%にとどまった経済の低迷などを受け、政権を握ったタイ国軍の国家平和秩序評議会(NCPO)が高コストの高速鉄道の建設計画に対して消極的な姿勢をみせ始めている。現地紙バンコク・ポストなどが報じた。

 建設費8000億バーツ(約2兆5120億円)とされる同計画は、5月に人事問題で憲法裁判所の違憲判決を受けて失職したインラック前首相率いるタイ貢献党政権が策定した総額2兆バーツの輸送インフラ整備計画の一環。首都バンコクと中部のラヨンやホアヒンなどを結ぶ全4路線の第1期工事が2019年に完了予定で、日本や中国、フランスなどが受注を競っていた。

 NCPOは景気浮揚のためにもインフラ整備を実施するとしており、インラック政権の2兆バーツの輸送インフラ整備も規模を縮小して実行に移す意向だ。NCPOのプラユット議長は全国に総延長3000キロを有するタイ国鉄の路線複線化の実施に向けて意欲を示した。一方で、高速鉄道に関しては現在の国内情勢から支持を得にくいとして新たに採算性に関する調査を行うことを決定したもようだ。

 同国の今後の輸送インフラ政策を検討する委員会は、インラック政権の計画よりも多い総額3兆バーツのインフラ整備計画を策定してNCPOに提出した。インラック政権の計画から高速鉄道建設を除いた1兆2000億バーツに、新港の建設やドンムアン、スワンナプームの両国際空港の拡張などを加えた結果、金額が膨れあがったという。

 タイではこのほかに総額3500億バーツの治水インフラ整備計画もストップしている。NCPOは今後、インフラ整備計画の精査に入り、7月中旬には総合的な経済対策として発表する方向だ。高速鉄道の建設計画をはじめとする巨額プロジェクトの行方が注目される。(シンガポール支局)