TPP懸案6章、着地点を模索 26日から首席交渉官会合

 

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉に参加する日米など12カ国は26日から米アトランタで首席交渉官会合を開く。残された懸案の着地点を探り、30日からの閣僚会合で大筋合意を目指す。TPPの協定文31章のうち、懸案は「知的財産」や「原産地規則」など6章に絞り込まれてきた。ただ各国の対立の溝は深く、漂流懸念と隣り合わせのギリギリの交渉が続くと予想される。

 「今回を最後の閣僚会合としたい」。安倍晋三首相は25日、首相官邸で開いたTPPに関する主要閣僚会議で、交渉の合意に意欲を示した。その上で「交渉チームには全力で当たり国益を最大限に実現する成果を挙げてもらいたい」とも指示した。

 甘利明TPP担当相は会議後の記者会見で、「不退転の決意で成功裏に交渉をまとめ上げたい」とする一方、「手放しで楽観的にいられる状況ではない」と今回の会合も合意が簡単ではないことを認めた。

 首席交渉官会合は29日までの日程で、日本からは鶴岡公二首席交渉官らが参加する。鶴岡氏は25日、首席会合への出発前に東京都内で記者団に「実質合意の実現は十分手の届くところに来ている」と述べ、合意に期待感を示した。

 交渉関係者はTPPの協定文31章のうち、決着かほぼ決着に分類されるのは現時点で「25章」と明かす。未決着は「知的財産」「国有企業」「原産地規則」など4章に加え、交渉終了時に確定する協定の「前文」と「最終規定」の2章だ。

 なかでも知的財産と原産地規則が難航。知的財産では新薬データの保護期間をめぐり、12年を主張する米国と5年で譲らないオーストラリアなどが対立。原産地規則では自動車の関税撤廃の前提となる参加国内からの部品調達比率について、40%程度を求める日本と62.5%以上を訴えるカナダ、メキシコの意見の隔たりが埋まっていない。

 国有企業も税制上の優遇措置などを制限するルールで、マレーシアが自国企業をできるだけ例外扱いとするよう要求し、なお火種がくすぶっている。

 協定文の交渉とは別に、2国間で進めている関税協議でも乳製品の扱いが難題だ。7月末に米ハワイ州で開かれた閣僚会合では、ニュージーランドが日本や米国、カナダに過大な市場開放を要求し、決裂の大きな要因となった。

 ニュージーランドのキー首相は乳製品の関税協議に関して、「決着からほど遠い」とハワイ会合以降も進展がないことを明らかにし、交渉の合意について「自信がない」と語っている。

 日本の交渉筋は今回の会合で合意する可能性を「6割程度」としており、各国の政治日程を考慮すれば「合意がない場合には年単位で先延ばしになる可能性がある」(甘利氏)という。(西村利也)

 ■TPPの協定文31章の交渉状況

 ◆決着・ほぼ決着

  物品市場アクセス

  繊維

  税関・貿易円滑化

  SPS(衛生植物検疫)

  TBT(貿易の技術的障害)

  貿易救済

  政府調達

  競争政策

  越境サービス

  ビジネス関係者の一時的な入国

  金融サービス

  電気通信サービス

  電子商取引

  投資

  環境

  労働

  協定の冒頭・一般的定義

  協定の例外

  協定の運用・制度

  紛争解決

  協力・キャパシティビルディング

  規制の整合性

  中小企業

  競争力・ビジネス円滑化

  開発

 ◆未決着

  知的財産

  原産地規則

  国有企業

  協定の透明性・腐敗防止

  協定の前文

  協定の最終規定