豪潜水艦受注、日仏対決に 米の難色で独脱落 現地メディア報道

 

 日本、ドイツ、フランスの3カ国が受注を競うオーストラリアの次期潜水艦導入計画で、米国の思惑などからドイツの可能性が後退し、受注は「日仏に収斂(しゅうれん)された」との観測が浮上している。豪メディアは、ドイツとの共同開発となった場合、中国の産業スパイなどから機密情報を守りきれるのか-という疑念から米国が技術提供を拒否する姿勢を示しているとも指摘。豪州と同じく米国の同盟国、日本の「そうりゅう型」が有望視されていると伝えている。

 豪州は、2020年代半ば以降、老朽化が進むコリンズ級潜水艦と入れ替えるため、新型潜水艦を8~12隻建造する。建造やメンテナンスなどを合わせ、総額500億豪ドル(約4・4兆円)相当の大型契約となる。

 日独仏は昨年、潜航能力やコスト、経済効果についての計画書を提出。豪政府は、今年半ばにも共同開発相手を決定する方針だ。

 広大な海洋に囲まれた豪州は、長い航続距離を可能にする4千トン級の潜水艦を予定している。だが、独造船企業ティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)は、既存の2千トン級潜水艦「214」型の大型化を提案。ロイター通信は、実績面などから、複数の業界関係者が「技術的に危険」とみなしていると指摘した。

 米政府は、入札に「中立」を表明。だが、地元有力紙オーストラリアン(1月25日付、電子版)は、米国が「中国の産業スパイから、重要な防衛技術を守る能力がドイツにあるかどうかに深刻な懸念を抱いている」と伝えた。

 また同紙は、日本の三菱重工業と川崎重工業が建造する「そうりゅう」型(4千トン級)が採用されれば、米国は「最先端の戦闘システム提供を約束」していると指摘。逆に日本案却下なら、「(日本案に反対している)中国の外交と戦術上の勝利とみなされる」という米国の見方も紹介した。

 一方、フランスの政府系造船会社DCNSは、5千トン級の攻撃型原子力潜水艦「バラクーダ」の転用案を提示している。同社は、防衛産業の拠点、南オーストラリア州アデレードで、技術移転を含めた地域の雇用創出効果を豪政府にアピールしている。

 豪政府は国内での建造を望んでおり、当初はこれに否定的だった日本側だが、最近は前向きに検討しているという。(シンガポール 吉村英輝)