台湾有事の際、米軍の最前線基地となる沖縄県の嘉手納基地。米ランド研究所の米中戦力分析では、緒戦の中国のミサイル攻撃で基地は一旦閉鎖を余儀なくされるという=2015年5月2日、沖縄県中頭郡嘉手納町(門井聡撮影)【拡大】
【野口裕之の軍事情勢】
《金融緩和しながら増税するのはアクセルとブレーキを同時に踏むようなもの》との政権批判があるが、国家滅亡は招かない。ところが、米国が安全保障戦略でアクセルとブレーキを踏み違えると、影響は巨大津波と化し太平洋を渡り、アジアの同盟国に襲い掛かる。
衝撃の米中戦力逆転分析
《台湾は不沈空母である》
連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサー米陸軍元帥(1880~1964年)のメッセージに、アクセルとブレーキの操作を間違えた米国の失政が透ける。米国の「運転ミス」は後述するとして、今や不沈空母であるべき台湾は沈没の危機にある。これもまた、米国の運転ミスに端を発する。
大東亜戦争(1941~45年)前より今日に至る連続運転ミスのツケは、米ランド研究所が発表した最新の米中戦力判定《米中軍事スコアカード》に現れた。恐ろしいことに、中国人民解放軍(PLA)の台湾侵攻時、台湾防衛を担う《沖縄の嘉手納基地など米軍航空基地に対するPLAのミサイル攻撃力は、2010年に迎撃する米軍と互角に、17年にはPLAが優位に立つ》。《対艦弾道ミサイルや潜水艦による対水上艦戦闘力でも17年にPLA有利になる》。