米国勢に対抗…独主導か 英のEU離脱リスク対策も
英独証取合併合意【ベルリン=宮下日出男】ドイツ取引所とロンドン証券取引所(LSE)グループは世界の主要取引所間の競争激化を受け、欧州2大金融センターの統合で米国勢などに対抗していく構えだ。懸念されている英国の欧州連合(EU)離脱に備えたリスク軽減といった事情もありそうだ。
「欧州の資本市場は間もなく米国勢の手に落ちるだろう」。今回の交渉を主導したとされるドイツ取引所のケンジェター最高経営責任者(CEO)は独メディアにこう語る。今回の合併は事実上、同取引所による「買収」との見方が強い。
フランクフルト証券取引所を運営するドイツ取引所がLSE獲得に動いたのは2000年以降、今回で3度目。04~05年の前回は、金融センターとしての存在感に勝るLSEが提示された買収条件を拒否した。
その後、インターコンチネンタル取引所(ICE)がロンドン国際金融先物取引所を獲得するなど米国勢もロンドン市場に進出。就任1年足らずのケンジェター氏は危機感を強めた。
ただ、今後も規制当局の審査といった課題が残るほか、ICEなどがLSEによりよい条件を提示してくる可能性もある。6月に英国で行われるEU残留の是非を問う国民投票の行方も懸案だ。双方は英国のEU離脱が決まっても計画を進める方針で、内部で影響の評価作業を進めている。
仮にロンドンの取引量が減少した場合、利益を得るのはフランクフルトともされる。LSEにとって「合併は事実上のリスクヘッジ」(欧州メディア)との見方も出ている。
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