キューバで関心集めるトランプ氏 「開放」支持の姿勢で“歓迎”の声も
【ニューヨーク=黒沢潤】キューバで、米大統領選の共和党候補指名で先行する不動産王、ドナルド・トランプ氏の動向が関心を集めている。対キューバ制裁解除への反対派が多数を占める共和党内にあって、トランプ氏は反対一辺倒の強硬論者ではないためだ。制裁緩和策を推し進めるオバマ米大統領が先月下旬にキューバを訪問した際、一部の共和党議員が訪問団に公然と加わったことも注目されている。
「私は(オバマ氏と、強硬な共和党議員との)中間に立つ」。トランプ氏は先月、オバマ氏のキューバ訪問に先立つ共和党討論会でキューバ政策を問われた際、こう述べた。
トランプ氏は昨年、ビジネスマンとしての視点から、「キューバを(孤立ではなく)開放させるのはいいことだ」とも強調。一連の発言は、キューバ亡命者の父を持ち、対キューバ強硬派の共和党対抗馬、テッド・クルーズ上院議員とは一線を画した格好だ。
駐ハバナ外交筋によれば、キューバ人の多くは制裁解除を目指すオバマ氏の政策を引き継ぐ民主党候補ヒラリー・クリントン氏の勝利を望んでいるとされるが、「最近はトランプ氏を歓迎する声も出てきた」(キューバ独立系ジャーナリスト)という。
キューバでは、米大統領選への関心が日々高まっており、オバマ氏とハバナで共同会見したカストロ国家評議会議長に対しキューバ系米国人記者から、「ヒラリー、トランプ両氏どちらの当選を望むか」との質問も出た。カストロ氏は「投票権がない」とけむに巻いたが、「政権がこれほど米大統領選に関心を寄せたことは近年ない」(中米外交筋)との指摘が出ている。
キューバでは一方、オバマ氏のキューバ訪問に同行した共和党議員への関心も高まっている。超党派訪問団約40人のうち、共和党からは上院からジェフ・フレイク議員ら2人、下院からマーク・サンフォード議員ら3人が参加した。いずれも制裁解除後の農産物輸出などを狙う中西部や南部の議員らだ。サンフォード氏は「他国政府を変革させる手段として『孤立』より『関与』を重んじる政策に賛成だ」と語る。
共和党上院では、議員54人のうち、少なくとも15人がキューバとの貿易促進を目指すなど、制裁緩和を支持。上下両院合わせて同調者は数十人に上るという。
また、オバマ氏の制裁緩和を受け、米大手企業がカストロ政権との接触を本格化させる中、米経済界寄りの共和党がこうした企業の動きに水を差すのは難しいともみられている。オバマ氏は最近、どちらの党から大統領が選ばれても、米議会は制裁解除に動くとの見方を示している。
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