AI研究、3省で連携 米に共同研究所も 開発速度の向上期待
経済産業省と総務省、文部科学省は月内にも、人工知能(AI)技術の研究開発に取り組む連携組織を立ち上げる。所管する研究機関が企業と協力して基礎から応用研究、事業化まで一貫して進めるほか、米シリコンバレーに共同研究所を設置して海外研究者の受け入れ体制も整備。欧米に比べ出遅れているAI研究を産学官連携で加速し、イノベーション(技術革新)や新産業の創出を実現する。
司令塔の事業合同推進委員会を近く設置する。
また産業技術総合研究所(所管・経産省)、情報通信研究機構(同総務省)、理化学研究所(同文科省)の3機関によるセンター長会議で研究内容を調整する。
関連予算は3省で年間約100億円(2016年度)にのぼり、重複を省いて効果的に事業を進める。産総研は昨年5月に人工知能研究センターを設立して企業と共同研究に取り組んでいるため、こうしたデータを3省で共有すれば開発速度の向上が期待できそうだ。
さらに、研究者が大学や研究機関だけでなく企業にも同時に雇用される「クロスアポイントメント」を進め、企業の要望と研究内容のミスマッチを解消することで事業化を進める。
このほか、AI研究者やビッグデータの専門家であるデータサイエンティストなどの人材育成に加え、海外の優秀な研究者やエンジニアを国内に招く枠組みも構築する。国際的な発信力を高めるため知的財産を開放して技術発展につなげる「オープン化」も進める。
AIの研究開発は、米グーグルやアップルなどIT大手が巨額の事業費を計上し、各国政府も支援している。経産省幹部は「日本が追いかけるには資金と人材を集中させる必要がある」と指摘。25日にはお披露目を兼ねたシンポジウムを東京都内で開催する。
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