「中国寄り」加速? 豪首相、企業関係者ら過去最大の1千人率いて初訪中へ
【シンガポール=吉村英輝】オーストラリアのターンブル首相が、14~15日の日程で、昨年9月就任後初めて中国を訪問する。過去最大の約千人の企業関係者が随行し、貿易や投資でトップ・セールスを展開する。中国による南シナ海での軍事拠点化や豪州の次期潜水艦選定などの問題も両国に横たわるが、「経済重視で中国寄り」とされるターンブル氏が、習近平国家主席との会談でどこまで踏み込めるかは不透明だ。
「中国は期待に応えると証明した」。12日付のオーストラリアン紙(電子版)は、豪州のチオボー貿易・投資相が11日、首相に先駆け訪れた北京で「中国における豪州週間」開幕式で、約千人の随行団を前に実績を披露したと伝えた。
昨年12月の豪中自由貿易協定(FTA)発効を受け、今年1~2月の豪州の対中輸出は前年同期比で、冷凍牛肉が44%増、ワインが2・2倍と拡大。豪州は、従来の鉄鉱石のほか、農産物など中国の一般消費市場開拓にも注力し始めた。
ターンブル氏は、昨年9月に与党自由党内の“クーデター”で「親日派」とされたアボット前首相から政権を奪取後、高い支持率を維持していた。だが、期待された経済政策で迷走し、今月発表の世論調査で与党保守連合は最大野党労働党に支持率で逆転された。両院解散総選挙もにおわせ、経済再建を急いでいる。
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「家族関係(ターンブル氏の義理の娘の父が中国共産党関係者)などから、アボット氏より中国に甘くなるだろう」
こう指摘する豪グリフィス大のアンドリュー・オニール氏は、米軍も駐留する北部ダーウィンの港湾を99年間中国企業に貸借したこともあげ、短期的な経済利益のため「アジア・太平洋における長期の戦略的な国益を犠牲にしてはいけない」と警告する。中国企業は豪州で、大規模農場やインフラ事業の“爆買”を継続中で、心配は高まる。
ターンブル氏は、南シナ海を軍事拠点化する中国の動きを批判しているが、豪政府は首脳会談の議題になるか明らかにしていない。
豪政府は、日独仏が受注を争う次世代潜水艦の調達先を近く判断する方針。だが中国は、米国も推し有望視される日本の「そうりゅう」型採用を強く牽制(けんせい)している。中国側が経済問題と平行し、潜水艦問題で圧力をかける可能性もある。
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