ソウルの金浦国際空港に駐機する大韓航空機【拡大】
韓国の航空業界がどうもおかしい。大韓航空の副社長(当時)が機内でのマカデミアナッツの出し方に激怒して搭乗機を引き返させた2014年の「ナッツリターン事件」のとばっちりで、機内での乗客の違法行為に対する罰則が今年1月に強化された。機内放送でも違法行為禁止を呼びかけるようになり、「性的羞恥(しゅうち)心を誘発する行為」も盛り込まれた。これには「意識の低い国という認識を与えかねない」との指摘もある。一方で、格安航空会社(LCC)の旅客機が半ドア状態で飛行するなど、安全軽視のトラブルも相次いでいる。
はじまりは「ナッツリターン事件」…罰金10倍に
ナッツリターン事件は記憶にまだ新しい。14年12月、大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョナ)副社長(当時)が機内での乗務員のマカデミアナッツの出し方に激怒し、米ニューヨークのJFK空港でいったんゲートを離れた搭乗機を引き返させて乗務員を降ろさせたため、到着が11分遅れた。元副社長は15年2月に一審で禁錮1年を言い渡され、二審でも禁錮10カ月を言い渡されたものの、執行猶予が認められて釈放された。
この事件を機に韓国政府が航空法を改正した。米CNN(電子版)によると、今年1月19日、旅客機内で暴れたり暴言を吐いたりした乗客に対する罰則が強化された。それはそれで悪いことではないが、旅客機に乗り合わせた航空会社幹部の“悪行”がきっかけだったわけで、大多数の良識的な乗客にとっては迷惑な話である。