韓国総選挙 朴槿恵氏の敗北で「慰安婦」日韓合意、履行できない恐れが強まる
【ソウル=藤本欣也】韓国総選挙で、慰安婦問題をめぐる昨年末の日韓合意を認めない野党勢力が伸長した。総選挙後、合意の履行に向けた韓国側の動きが本格化する見通しだったが、与党セヌリ党の敗北を受け朴槿恵(パク・クネ)大統領の指導力低下は避けられず、約束通り合意を履行できない恐れが出てきた。
日韓両政府は昨年12月下旬、(1)日本が10億円程度を拠出し、韓国が元慰安婦を支援する財団を設立する(2)韓国側はソウルの日本大使館前の慰安婦像撤去に努力する-ことなどで合意した。しかし最大野党・共に民主党、第2野党・国民の党はともに「合意の無効」「再協議」を求めている。
選挙戦で争点とはならなかったものの、韓国政府は政治的に敏感な問題だけに、総選挙が終わってから履行に向けた動きを本格化させる意向を示していた。
ただ、外務省や女性家族省は財団設立に向けた作業を水面下で進めてきており、財団トップには、元外交通商相の柳明桓(ユ・ミュンファン)氏(70)が有力視されている。柳氏は2007年に駐日大使を務めた知日派として知られ、日本の政官界とのパイプも太い。
「早ければ今月中にも財団が発足する」(関係者)との見方もあったが、総選挙の結果を受け、東西大学の趙世暎(チョ・セヨン)・日本研究センター所長は「(日韓合意の履行について)韓国政府が国内世論に対し、より慎重に注意を払わなければいけなくなった」と指摘する。
また、先日、辞意を表明した柳興洙(ユ・フンス)駐日大使(78)の後任人事の調整もこれから本格化する。
関係者によると、有力候補として朴●(=日へんに俊のつくり)雨(パク・ジュンウ)・世宗財団理事長(62)の名前が挙がっている。朴●(=日へんに俊のつくり)雨氏は外交官出身でアジア太平洋局長やシンガポール大使、大統領府政務首席秘書官を歴任した。
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