デフレ懸念、「次の手」模索 日銀、政策決定会合 ETF拡大も

 

 日銀は27~28日に金融政策決定会合を開き、追加の金融緩和の必要性を議論する。年初からの円高・株安は落ち着きつつあるが、日銀内では、物価伸び悩みによる「デフレ再燃」を懸念する声も出始めた。2月に導入した「マイナス金利政策」の効果を見極めるべきだとの意見が主流だが、上場投資信託(ETF)の買い入れ拡大案なども浮上している。

 リポートに安堵

 「日銀はやっと目を覚ましてくれた」

 大手銀行の幹部は、日銀が22日に公表した半年に一度の「金融システムリポート」を一読し、安堵(あんど)のため息をついた。

 マイナス金利で金融機関の収益力低下が長期化すれば、お金の出し手と借り手の資金の流れを円滑にする「金融仲介機能」が損なわれる可能性があると指摘したのだ。

 3月下旬に日銀がホームページで公開した「5分で読めるマイナス金利」では、「あまり銀行が困らないようにしました」と解説し、銀行界の猛反発を浴びたが、今回のリポートは好意的に受け止められた。

 市場では、現在年0.1%のマイナス金利幅を0.2~0.4%へ引き下げると予想する投資家もいるが、日銀内では「銀行との関係修復を優先すべきだ」との声が多い。また、企業の投資や家計の消費を増やすマイナス金利の効果が出るまで「最低でも半年ぐらいはかかる」(幹部)とされ、会合メンバーの大半も「様子見したい」考えのようだ。

 心理冷える恐れ

 一方、年80兆円の国債買い入れを90兆~100兆円に増やす案もささやかれているが、「大規模金融緩和の打ち止め」が意識されるため、日銀の執行部は現段階で乗り気ではないとみられる。

 ただ、熊本地震で自動車の生産や訪日外国人消費の悪化が予想される中、企業や消費者の心理が冷える恐れもある。

 日銀は28日に公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で1.8%としている2017年度の物価上昇率見通しを引き下げる。「17年度前半ごろ」としている2%物価目標の達成時期も半年程度先送りする公算とみられる。

 このまま日銀が手をこまねいていれば「打つ手なし」と市場に見透かされ、円高・株安の動きが再燃する懸念も出てくる。このため、市場では、ETFの購入額を現在の年3.3兆円から5兆~6兆円に増やす案も噂されている。

 一方、マイナス金利は、民間銀行が抱える預金が多くなると、その分、日銀に支払う手数料が増える。熊本地震の被災地の銀行には義援金や復興資金などが集まるため、日銀は適用除外などの負担軽減策が必要かも議論する。

 ■市場が予想する追加緩和策の選択肢

 ≪マイナス金利≫

 ▽具体策  マイナス幅を年0.1%から0.2~0.4%へ拡大

 ▽メリット  銀行の貸し出し増。円高を抑制

 ▽デメリット  銀行収益の圧迫、年金や資産運用への不安が強まる

 ≪国債≫

 ▽具体策  購入額を年80兆円から90兆~100兆円に

 ▽メリット  金利の低下。円高を抑制

 ▽デメリット  大規模緩和の打ち止め感。市場の国債減少を早め、買い入れの継続に限界も

 ≪ETF≫

 ▽具体策  購入額を年3.3兆円から5兆~6兆円に

 ▽メリット  株価上昇、企業マインドの改善

 ▽デメリット  株式市場の価格形成にゆがみ。株価下落時に市場の催促が強まる懸念

 ≪補完策≫

 ▽具体策  被災地の銀行に集まる義援金や復興資金のマイナス金利適用除外

 ▽メリット  マイナス金利を気にせず、復興に必要なお金が集まる

 ▽デメリット  マイナス金利の効果減。適用除外が無制限に増える恐れ