下水道維持費、1.35兆円に 2033年度、13年度の1.5倍へ膨張
全国にある下水道の維持管理や更新に必要な費用が、2033年度には13年度の1.5倍に膨らむ見通しであることが、国土交通省の調べで分かった。施設の老朽化で改修費用がかさむためで、将来は住民が支払う下水道使用料の引き上げが必要になりそうだ。
日本下水道協会によると、下水道料金は一般家庭の平均で月2740円程度。上水道料金を払う際に同時に徴収されるケースが多い。
下水関連のインフラ整備は1960年代頃から本格化。下水管は敷設から50年程度、下水処理場の施設は15年程度で更新する必要があり、施設の老朽化が徐々に深刻化しつつある。2013年度に8900億円だった維持管理や更新の費用は、最大で23年度には1兆1300億円、33年度には1兆3500億円に膨らむ見通しだ。
財務省によると、上水道は主要な施設の更新費用を基本的に水道料金で賄っているのに対して、下水道は約半額が国の補助金で手当てされている。
財務省は、この背景には両者の会計制度の違いがあるとみている。上水道事業は、民間企業並みの財務諸表を作成する「公営企業会計」が義務付けられ、将来必要な費用を見込んで使用料を決めている。下水道事業には義務付けられておらず、必要な費用を十分把握できていないという。
現在は下水道事業で公営企業会計を導入しているのは全体の2割強にとどまっているが、総務省が導入を促していることもあり、今後は増える見通しだ。日本下水道協会の担当者は「導入すれば、費用を賄うための使用料が設定できる」としており使用料が引き上げられる可能性がある。
一方、公営企業会計の導入には専門的な知識が必要で、小さな自治体には対応が難しく、支援が必要だとの指摘もある。
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