ベンチャー支援事業、省庁連携へ 月内にも協議会設立
政府は各省庁が個別に取り組んできたベンチャー企業の支援事業を連携させる協議会を5月にも設立する。内閣府や経済産業省、文部科学省など関連する10程度の省庁が有望な企業・人材の情報を共有し、支援対象の発掘から世界市場への挑戦まで一貫して行う。ベンチャーの斬新なアイデアを伸ばして技術革新を生みだし、経済成長に結びつけたい考えだ。
協議会は関係省庁の代表で構成し、連携してベンチャー企業側の要望にきめ細かく応える。
例えば、従来は経産省が先端技術を使った農業ベンチャーの支援に乗り出しても、農業指導員などの関係者とつながりを持たないため橋渡しが難しかった。今後は農林水産省の協力を得て、円滑に支援できる。
また、海外の提携先発掘に向け起業家を米シリコンバレーに送り込む経産省の事業を拡大し、シンガポールなどのアジア諸国やベンチャー企業の活躍が目立つイスラエル、欧州などとも協力関係を築く。
このほか、広報活動やイベントを合同で実施し、補助金の申請書類も共通化して利便性を高める。併せて産業界やベンチャー育成の投資ファンド(ベンチャーキャピタル)、大学の代表などによる諮問委員会を設け、政府の支援方針について助言をもらう。
政府はベンチャーの株式を購入した個人投資家の所得税を減税するエンジェル税制の拡充をはじめさまざまな支援策を講じてきたが、新規開業した企業の割合を示す「開業率」は欧米の半分程度の約5%にとどまり、十分な効果は出ていない。
政府内では「新たなビジネスを開拓するには、省庁がバラバラに動くのではなく複数の産業をまたいだ支援が必要だ」(経済官庁幹部)との声が強く、関係機関の連携体制を整える。
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