ベトナム、ネット通販拡大続く 15年、売上高37%増の4422億円

 
ベトナム・首都ハノイのカフェでインターネットを利用する女性たち(AP)

 ベトナムは、インターネット通販市場の拡大が続いている。同国情報通信省傘下の電子商取引・情報技術庁(Vecita)が4月に発表した「ベトナム電子商取引報告2015年版」によると、15年の企業と消費者(BtoC)間の電子商取引の売上高は、前年比37%増の40億7000万ドル(約4422億万円)に達した。背景にはネットの急速な普及拡大がある。国営ベトナム・ニューズなどが報じた。

 同国は現在、ネット利用者が人口9130万の45%に上る。同報告によると、15年はネット利用者のうち、62%がネット通販を利用したとされ、14年の58%から増加した。

 15年の1人当たり平均購入額は160ドルで14年の145ドルを上回った。購入品目は、衣料品と靴、化粧品が全体の64%を占める。ほかは、電子機器や家電などが売れ筋だ。

 同報告は「ベトナムの電子商取引は目覚ましい成長の段階に入った」と指摘。ネット通販の売上高が5年後には100億ドルに達すると予測している。

 一方、同報告の調査でネット通販の決済方法を聞いたところ(複数回答)、約1000人の調査対象者のうち、91%が現金による代金引換と回答した。銀行の口座振り替えの利用者は48%、クレジットカードを利用した人は20%にとどまった。同国では電子決済の安全性を懸念する消費者も多く、電子決済の環境整備が今後の課題といえそうだ。

 15年末までに同国で登録されたネット通販サイトは1万を超え、14年末から倍増した。国営ベトナム航空や地場携帯・家電販売モバイルワールドなどは自社サイトでの直販が売り上げを大きく伸ばしている。

 ネット通販各社も需要取り込みに向けた動きを加速させる。4月には、東南アジアで幅広く電子商取引事業を展開する独系通販サイト事業者のラザダを中国の電子商取引最大手アリババ集団が買収した。

 ラザダのベトナム法人はベトナム最大の通販サイトに成長している。同法人のアレクサンドレ・ダルディ最高経営責任者(CEO)は「アリババの傘下に入ることで、さらに安価で幅広い商品の提供ができるようになる」と意気込みを示した。

 それに対し、ベトナムで同法人に次ぎ売上高2位の地場通販サイトのチョディントゥ・ドット・ベトナムを傘下に持つ地場ソフトウエア開発ピースソフト・グループの会長は「値引き合戦ではなく、ベトナムの消費者の需要をきめ細かくつかむことが販売拡大の鍵になる」とし、サービス向上などでアリババの攻勢を迎え撃つ姿勢だ。

 同国ではネット通販が拡大しているものの、小売り・サービス産業の売上高全体における割合はわずか2.8%にすぎない。成長が確実視されるネット通販市場をめぐり、今後、関連企業間の競争が激しくなりそうだ。(シンガポール支局)