金正恩氏ってどんな人なの? 祖父のものまねは突かれたくない部分か
平壌の金日成広場で行われた祝賀パレードを観覧し、手を振る金正恩党委員長=10日(共同)
36年ぶりの朝鮮労働党大会で党委員長とに推戴(すいたい)され、北朝鮮の「独裁者」の地位を固めた金正恩(キム・ジョンウン)氏はどんな人物なのか-。
大会初日の6日、金永南(ヨンナム)最高人民会議常任委員長(88)ら並み居る党の重鎮らにへりくだらんばかりの拍手で迎えられ、彼らに座れ、座れと、手を盛んに上下させてかっぷくのよさを示してみせた。
しかし、最大の弱みは党・軍での経験不足だ。金正男(ジョンナム、45)、正哲(ジョンチョル、34)という兄2人が後継者候補から脱落する中、父、金正日(ジョンイル)総書記が死去する2、3年前に「棚ぼた式」に後継者にすえられた。
そのため、権威のよりどころを祖父の金日成(イルソン)主席に求めた。党大会でのスーツにめがね姿も祖父を連想させる。中国メディアが「祖父に似せるため整形した」と報じた際、北朝鮮側は「疑惑をつくり出したのは太陽のような尊顔に威圧された」からだと猛反発した。祖父のまねは突かれたくない部分のようだ。
スイス・ベルンの国際学校に留学。同級生によると、「一番鈍くはなかったが、いつも“第2群”だった。ドイツ語があまりできず、質問されると慌てた」という。留学中もバスケットボールに熱中。最高指導者就任後は、米プロバスケの元スター選手、デニス・ロッドマン氏を招請する。
父の元専属料理人、藤本健二氏に「われわれは毎日、ローラースケートやバスケをして遊んでいるが、人民はどう過ごしているのかなぁ」と漏らしたことがあるという。最高指導者になると、大規模遊園地などを次々最優先で建設した。
彼なりに人民に尽くしているつもりのようだが、本当は何を最優先すべきか進言する側近がいないことが、経済政策での空回りを生んでいるのかもしれない。(桜井紀雄)
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