GDPプラス転換も個人消費、設備投資とも弱含み 政府内外とも厳しい見方相次ぐ

 

 内閣府が18日発表した平成28年1~3月期の実質国内総生産(GDP)は2四半期ぶりのプラスになった。ただ、個人消費は力強さを欠き、企業の設備投資も落ち込んでいる。熊本地震や円高などの影響で4~6月期はマイナス成長となる可能性もあり、政府は景気の息切れを防ぐ対策が求められる。

 GDPの6割程度を占める個人消費は1~3月期にプラスになったが、暖冬でエアコンなどの販売が苦戦した27年10~12月期の反動という側面がある。株安で高額品販売などは伸び悩み、内閣府幹部は「消費が強い感じはない」と話す。

 気がかりなのは、1~3月期の設備投資が大きく落ち込んだことだ。年明け以降の円高や新興国を中心とした海外経済の減速を背景に企業の投資マインドが冷え込んでいる恐れがある。

 先行きも、円高に加え、熊本地震が生産や観光に悪影響を与えかねない。4~6月期のGDPは、政府の28年度予算の前倒し執行で公共投資の増加などが見込まれるが、再びマイナスに転落する懸念はくすぶる。

 SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは、うるう年の1~3月期GDPのかさ上げ効果を0.2%強として「景気は足踏み状態が続いている」と指摘する。

 安倍晋三首相は来年4月に予定する消費税の再増税を延期する方針を固めており、秋に見込まれる景気下支えの経済対策を盛った補正予算案と合わせ、景気の腰折れを回避できるかが焦点になる。