民進・岡田代表「消費税引き上げは先送りせざるを得ない」、4案提示に安倍首相「うかがっておく」
党首討論詳報(2)岡田氏「リスクがあるということは共通の認識だ。聞いたことに答えてほしい。この主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の前後で、10%は再延期するということはないのか聞いている」
安倍首相「経済というのは生き物でもある。その中で、リーマン・ショック級の出来事、あるいは大震災、そうした大きな影響の及ぼす事態が起こらない限り、消費税を上げていくという従来の方針に変わりはない」
岡田氏「私が2度聞いて、再延期はないかと聞いて、首相が答えなかったから、私はないと理解する。もしこれで再延期すると、これは国民に対してきちんと説明する説明責任が生じるということは申し上げておきたい。私は、野田佳彦(元)首相とともに社会保障・税一体改革を担当大臣として推進した。やはり次の責めを、大きな債務を残すわけにはいかない。社会保障制度の持続可能性は重要だと考えて、社会保障・税一体改革、自民党や公明党のご理解をいただいて、なんとか、(旧民主)党のは相当傷んだが、なんとかまとめた。私は今も、その気持ちは変わっていない。ただ、先ほど来言っているような経済状況、特にこれだけ消費が力強さを欠いている中で、私はここでもう一度、消費税の引き上げを先送りせざるをえない状況だと思っている」
「その際に4つのことを申し上げておきたい。首相は『いや、先送りしない』というからお答えはいらないが、申し上げておきたい。1つは平成32年度の基礎的財政収支黒字化の目標を変えない。従ってそのためにはやはり31年4月には10%に上げる。そうでないと間に合わない。2番目には、法律にも書いてあるが、行政改革、行財政改革をより具体的に進める。この3年半見ていても、あんまり進んでいるようには見えない。公共事業を重点化していく。そして国民の皆さんに負担をお願いする以上、国会議員の歳費や公務員の人件費も含めて削減する。具体的な計画を策定しないと、マーケットの信頼を得られない」
「3番目は、社会保障の充実策。本来であれば、例えば年金の低年金者に対する年額6万円の給付、これは制度としてしっかり始まるはずだ。子供・子育てもある。こうしたものは、消費税を先送りするからといって先送りせず、4月からやる。これはある意味、機動的財政出動の中身だ。公共事業ではない。そして、財源は、消費税を上げるまで赤字国債でやるしかない。つまり2年間は赤字国債で賄うということだ。そして、4番目は、2年間、時間ができたわけだから、もう一度、軽減税率の導入は白紙に戻して総合合算制度や、給付付き税額控除と、どれが一番望ましいかということをきちんと議論し直す。この4点を提案しておきたい」
安倍首相「消費について言えば、今回は1~3月においては、個人の最終消費はプラスだが、消費税を引き上げて以来、弱いのは事実だ。その弱さにおいては、われわれの予想よりも弱いことは事実だ。そこにわれわれは注目している。いま、岡田代表から具体的なご提案をいただいた。経済をしっかりと成長させていかなければならない。また、その果実をいかして、すでに国民に約束している社会保障の財源についても、提案をいただいた。従来の申し上げた考え方の中で適切に判断していくが、今の岡田代表のご提案はご提案としてうかがっておきたい」
岡田氏「議題を変える。首相は自民党の憲法改正草案について、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義など現行憲法の基本原理は自民党の憲法改正草案でも貫かれている、と答弁した。そこで貫かれている平和主義とは具体的に何か」
安倍首相「われわれは71年前、二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。この不戦の誓いの下、平和主義を貫いてきた。その中で憲法の9条第1項と第2項があるが、その中でわれわれは、例えば武力の行使についても3要件がかかっている。そして、二度と他国を侵略しない。戦禍に世界の人々を巻き込むことはしない。これこそ、まさに平和主義だろうと思う。同時に、私が今進めている積極的平和主義は、世界の平和を維持していくためにも貢献していこうということだ。紛争など起こりそうなところでも、しっかりとその地域の生活の向上を図っていく、安定化を図っていく。貢献をしながら、より平和を拡大していく、より平和の強度を上げていく。そのために日本が役割を果たしていく。これが私たちが今進めている積極的平和主義だ」
=(3)に続く
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