首相、消費税再増税を延期の方針 景気腰折れ回避へ政策総動員

 

 足踏み状態にある日本経済の先行きには熊本地震の影響や円高などの下押しリスクがくすぶっており、安倍晋三首相は来年4月の消費税再増税を延期する方針だ。政府は経済対策を柱とする補正予算案など政策を総動員し、景気の腰折れを回避することが欠かせない。

 「(2014年4月の)消費税増税以後の消費の回復力は力強さを欠いている」

 16年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値について、18日の会見で石原伸晃経済再生担当相はこう指摘した。

 GDPで個人消費が回復したのは、うるう年の押し上げ効果や15年10~12月期が暖冬でマイナスだった反動が大きい。株安で高額品なども振るわず、むしろ「前年より弱い」(内閣府幹部)状況が続く。

 企業の設備投資は低迷し、景気の牽引(けんいん)役は見当たらない。円高や新興国経済の減速に加え、熊本地震が生産や観光に悪影響を与えかねず、16年4~6月期は再びマイナス成長に転落する可能性は高まっている。

 政府は16年度予算の前倒し執行で公共投資を増やしており、17日には熊本地震の復旧に向けた補正予算が成立。さらに、経済対策を盛り込んだ最低5兆円規模の補正予算案を今秋までにまとめる方向だ。消費税再増税は消費を冷え込ませる恐れがあり、安倍首相は延期の方針を固めている。市場でも「首相が増税に踏み切れるほど、景気に力強さはない」(エコノミスト)との見方が広がっており、日本経済は正念場を迎えている。

 ■見かけほど実勢強くない

 野村証券の美和卓チーフ・エコノミストの話 実質成長率が年率1.7%と事前の市場予想を上回ったのは、輸出から輸入を差し引いた外需の寄与度が大きめに出たためだ。個人消費など内需の弱さが実質輸入の減少となって現れた可能性があり、見かけほど景気の実勢は強くないと判断している。

 1~3月期の反動で4~6月期は再びマイナス成長に陥る懸念もあり、安倍政権が消費税増税の再延期に踏み切るとの見方は変わらない。2016年度後半には米景気と連動して外需が持ち直すだろう。編成が予想される第2次補正予算の押し上げ効果もあり、景気はひとまず上向く。