暮らしどうなる オーダーメード身近に、AIが仕事を奪う懸念も
成長戦略+規制改革政府が19日示した新成長戦略の素案は人口減少で停滞する日本経済の再興に向け「第4次産業革命」と呼ばれる技術革新を前面に押し出した。人工知能(AI)の普及で産業の姿は大きく変化し、高根の花だった受注生産が身近になるなど暮らしは快適になる。ただ、賢くなったコンピューターに仕事を奪われる人が増えるため、AIを使いこなす情報教育が流行しそうだ。
洋服店でサイズや色、生地の種類を指定すれば、既製品と同じ価格でオーダーメードのスーツが作れる。第4次産業革命で、そんな時代がくるかもしれない。
IoTにより、あらゆる機器がインターネットを通じて連携し、集められた大量の情報に基づきAIが判断を下す。工場はこれまで画一的な製品を大量生産してきたが、工程を自動管理する「スマート(考える)工場」に生まれ変わり、個人の好みに合わせた付加価値の高い製品を低コストで作れるようになる。
物流の自動化も進む。小型無人機ドローンを用いた安価な宅配が普及し、定期航路が少ない離島や山間部などの辺地でも買い物の不自由さが解消されそうだ。
自動運転も実用化する。足腰が弱り家に閉じこもりがちだった高齢者も、便数が減った公共交通機関に替わり無人タクシーが集会所まで運んでくれるため、友達とおしゃべりするなど活動的な生活を取り戻せる。
賢くなったAIは人間を助けてくれるだけでなく、逆に雇用を奪う存在にもなる。野村総合研究所は10~20年後に日本で働く人の49%の仕事はAIに取って代わられる恐れがあると試算する。
製造現場の仕事は激減し、企業の調達管理や配送業務、タクシーなどの運転手もAIが代行する。計算やデータ管理はお手のものとあって、経理など事務職の仕事も減少する。
子供たちが仕事に就けるよう、教育課程は見直される。タブレット端末などを子供1人に1台配布し、小中学校からプログラミングを必修化。AIが不得意なコミュニケーション能力を伸ばすため、周囲と協調した課題解決の授業も行う。
習い事情報誌「ケイコとマナブ」が平成27年に行った調査では、小学校高学年に習わせたい稽古事でプログラミングが既に8位に入っている。教育課程の見直しが進めば、英語や水泳などと並び情報活用の学習塾が流行する可能性がある。
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