市場の評価は? 明治安田生命の小玉氏「規制改革もの足りず」、大和総研の熊谷氏「目のつけ所はいい」

成長戦略+規制改革
明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミスト

【明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミスト】

 日本経済の生産性を飛躍的に向上させることをうたった成長戦略の方向性は、おおむね間違っていない。

 ただ、たとえば政府が有望な分野を掲げても、チマチマと補助金を出すだけでは、効果は限られる。真に日本の産業競争力を高めるには、政府が主導するだけでは限界があり、民間企業が市場競争などを通じて、自ら強くなっていく必要がある。

 それを側面支援するには、やはり規制改革を進めることが重要だが、今回の成長戦略や規制改革会議の答申をみても、踏み込み不足で物足りない。

 たとえば、成長戦略では農業を重点分野に挙げているが、政府による(企業の農地所有などの)規制緩和は、まだ不十分だ。

 雇用や医療、介護、教育などの分野での「岩盤規制」をなくすため、政府は一層、取り組みを加速すべきだろう。

【大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミスト】

 第4次産業革命などを通じた生産性向上をうたった点は目のつけ所がよく、総論としても、重要な論点を網羅しており評価できる。ただ、各論に関しては、もっと議論して深掘りしていかなければならない点がある。

 たとえば、(さまざまな機器がインターネットにつながる)IoTやビッグデータの活用に関し、「個人情報を使われ、プライバシーを侵害されるのではないか」というアレルギーを持つ国民は多い。理解を得るための取り組みを丁寧に進めていくことが重要だ。

 また、少子高齢化が進み、労働力人口が減り続ける現状を補うためには、海外からの「移民」の受け入れについて、本格的に議論を進める必要がある。呼び込む外国人は日本文化に理解を示し、日本語に対する言語能力もある「高度な人材」を軸に検討すればいいだろう。