原油相場上昇 高まる「増産欲求」 来月2日、OPEC総会 協調合意は困難
安値が続いていた原油相場が反転急上昇する中、産油国が生産量などを話し合う石油輸出国機構(OPEC)の定時総会が6月2日、ウィーンで開かれる。原油安対策として協議してきた「増産凍結」で合意できるかが焦点だが、4月に開かれた主要産油国による会議で決裂したのに続き、今回も見送りとなる公算が大きい。足元の相場上昇を受け、むしろ各国の「増産欲求」が高まっているためだ。加盟国の足並みがバラバラのOPECによる需給調整は機能不全状態にあり、「相場上昇も長続きしない」との見方が多い。
最安値から回復
原油相場は供給過剰が緩和されるとの期待から、26日のニューヨーク市場で先物価格が急伸し一時1バレル=50ドルの大台を突破。2月に付けた今年の最安値26.05ドルの2倍近くまで回復した。米国のシェールオイルの減産が進んだほか、ナイジェリアの石油関連施設の閉鎖による供給減少などが原因だ。
相場上昇で、それまで原油安対策が最大の課題だったOPEC内のムードは一変し、逆に増産を求める動きが活発化している。
1月に欧米からの経済制裁を解除されたイランは「制裁で失ったシェアを取り戻す権利がある」とし、サウジアラビアやイラクから顧客を奪おうと増産に意欲を燃やしている。4月には生産量を日量356万バレルと1月に比べ50万バレル以上増やし、制裁前と同水準の400万バレルを目指している。アジア向けの輸出価格を値引きするなど、シェアの回復に躍起で、増産凍結に応じる気配はない。
需給調整による相場回復を重視してきたOPECの盟主サウジアラビアも、手っ取り早く収入を増やせる増産の誘惑に駆られている。
軍事費の増大などで火の車の財政事情に加え、ある程度の原油安を容認し、敵対関係にある米国のシェールオイル企業の採算を悪化させたいとの意向もある。低コストで競争力のある原油を生産できるサウジが増産すれば、生産コストが高いシェール陣営をさらに追い詰めることができる。
機能不全に拍車も
5月上旬にサウジの石油政策を20年以上指揮し、増産凍結の合意に尽力してきたヌアイミ石油鉱物資源相が退任したこともOPECの機能不全に拍車をかけそうだ。
合意に失敗した4月の主要国会議では、増産を続けるイランへの敵意に駆られたサウジのムハンマド副皇太子が、ヌアイミ氏の意向を土壇場でひっくり返したとされる。ヌアイミ氏が不在となれば、需給調整に後ろ向きな副皇太子の意向がより強く反映され、増産凍結がさらに遠のくのは避けられない。
加盟国が増産欲求に駆られる中で開かれる今回のOPEC総会。石油業界関係者の間では「協調行動での合意は考えにくい」(木村康・石油連盟会長)との見方がもっぱらだ。(佐藤克史)
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