「骨太方針」閣議決定先送り 消費増税再延期 実効性に疑問符
安倍晋三首相が消費税増税再延期の方針を固めたことを受け、政府は5月末に予定していた経済財政運営の指針「骨太方針」と、働き方改革などの今後10年間の政策を盛り込んだ「ニッポン1億総活躍プラン」の閣議決定を先送りした。骨太素案の増税に関する文言などを修正するのが目的だが、策定作業は増税再延期を見越しており、修正は一部にとどまるとみられる。ただ、代わりの安定財源はめどが立たず、政策の実効性には疑問符がつく。
石原伸晃経済再生担当相は31日の会見で「一般論で言うと、(増税再延期が正式に決まれば)骨太方針は改めなければならない」との考えを示した。
安倍首相は1日の国会会期末の会見で増税再延期を表明する方向。その後、骨太の素案が与党の意見を踏まえて修正され、6月初旬にも、1億プランと一緒に閣議決定される。
5月中旬に示された骨太の素案は、増税再延期を念頭に置いたものになっている。増税に触れた箇所は「来年4月の消費税率引き上げを控え、予算や税制などを通じた消費喚起策や可処分所得の増加などにより環境整備する」という一文のみ。たたき台で検討された「(増税による)駆け込み需要・反動減を平準化する」という表現も消えた。
骨太が求める社会保障政策を具体化するため、政府の1億総活躍国民会議が5月中旬に策定した1億プランも同様だ。政府関係者は「まとめるにあたり、消費増税は前提としなかった」としている。
ただ、消費税に代わる財源の見通しはあいまいで、骨太方針は介護、保育の待遇改善といった社会保障人材の確保に、景気回復による税収増など「アベノミクスの成果」を使うとの考えを記した。足元では円高などで企業の減益予想も増えており、税収の安定的な増加をいつまでも期待できる保証はない。
一方、財政再建にも黄信号がともる。2018年度に国と地方の基礎的財政収支の赤字を国内総生産(GDP)比で1%程度に縮める財政健全化の中間目標は、昨年の骨太方針には盛り込まれたが、今年の素案から消えた。
20年度の黒字化目標達成も危うくなりかねず、日本の財政規律への信認も揺らぎかねない。
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