首相、消費税増税の2年半延期を正式表明 景気腰折れ回避へ政策総動員
安倍晋三首相は1日、記者会見し、2017年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを19年10月に2年半延期する考えを正式表明した。増税時期の変更は15年10月から1年半延期した14年11月の決定に続き2度目。首相は「これまでの約束とは異なる『新しい判断』である。公約違反ではないかとの批判があることも真摯(しんし)に受け止める」と述べた。政府は、増税時期を定めた消費税増税法改正案を参院選後の臨時国会に提出する方針。増収分を充てる予定の社会保障政策の充実や財政再建に影響が出るのは確実だ。
大型経済対策を秋に
安倍首相は1日の記者会見で、秋に大型の経済対策を実施する考えを表明した。政府は対策を盛り込んだ2016年度第2次補正予算案を参院選後の臨時国会に提出し、成立する見込みだ。歳出は5兆~10兆円規模で調整しており、消費税再増税の先送りと合わせ、政策を総動員して景気の腰折れ回避に全力を尽くす。
安倍首相は会見で「総合的かつ大胆な経済施策をこの秋に講じる。デフレからの脱出速度を上げていかないといけない」と述べ、危機感を示した。
5月26、27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、安倍首相は需要を喚起する財政出動の重要性を強調。各国が世界経済の成長に向け、財政や構造改革など全ての政策を用いることで一致した。
既に熊本地震の復旧・復興に向けた16年度補正予算を成立しているが、安倍首相は“国際公約”を受け、切れ目のない財政出動に踏み切る。
消費喚起へ商品券も
日本経済は消費税率8%引き上げ以降、個人消費の回復が遅れている。経済対策には、リニア中央新幹線の計画前倒しなど公共事業に加え、生活必需品などの購入に充てられるプレミアム商品券の発行を盛り込む見通しだ。子育て支援などの「ニッポン1億総活躍プラン」の一部施策も先行して実施する。
15年度補正予算では、低所得の高齢者に3万円を配布する臨時給付金が「ばらまき」との批判を浴びた。安倍首相は会見で「人工知能、ロボット、技術革新を日本から起こす経済対策を行う」と述べ、成長につながる投資を重視する考えを示した。
2次補正の財源は、税収の上振れ分や前年度の剰余金などが選択肢になるが、金利低下に伴う国債利払い費の減少分の一部は16年度補正予算で使用した。SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「確保できる財源は最大4.5兆円程度」と指摘する。
与党内から予算規模の上積みを求める声が上がる可能性もある。政府は15年度補正予算で赤字国債を発行しなかったが、財政規律の維持が焦点になる。
関連記事