アベノミクス、個人消費の弱さ誤算 市場、雇用は一定の成果
安倍晋三首相による消費税増税の再延期表明に対し、野党は「アベノミクスは失敗した」との批判を強めている。ただ、旧民主党(現民進党)政権末期の2012年12月当時より株高、円安が進み、雇用関連の指標も改善するなど一定の成果は出ている。誤算は個人消費が想定以上に弱かったことで、14年4月の消費税増税を機に強まった節約志向は改まらず、デフレ脱却の足取りを鈍くしている。
1日の日経平均株価の終値は、前日比279円25銭安の1万6955円73銭。昨年に一時2万円を突破した勢いは、中国経済の失速懸念などで失われたが、民主党政権の末期より6000円以上、高い水準だ。
1日は東京外国為替市場で1ドル=110円前後だった円相場も、安倍政権発足時の85円台から25円程度の円安。市場環境が好転したのは、日銀が大規模な「異次元」金融緩和を打ち出してきたことが大きい。
輸出産業を中心に企業業績も改善し、雇用環境は好転。4月の有効求人倍率は24年5カ月ぶりの高水準となる1.34倍をつけた。
問題は国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費が戻らず、経済成長全体を下押ししていることだ。14年1~3月期に322兆円まで達した実質GDPの個人消費は、4月の消費増税後、4~6月期に306兆円まで急落。今も同水準の低迷が続いている。財布のヒモが緩まないのは、賃上げのペースが食品などの値上がりに追いつかないことや、そもそも「新たに買いたい物が出てこない」(石原伸晃経済再生担当相)ことがある。税や保険料支出の急増で可処分所得が減っていることを、原因に挙げる声もある。
政府は新たに打ち出す追加経済対策に、プレミアム商品券などの消費喚起策を盛り込むが、効果は一時的にすぎない。社会保障改革も含む、将来不安解消のための抜本対策が求められそうだ。(山口暢彦)
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