NISA非課税期間の延長検討 金融庁、制度の恒久化も
金融庁は年間120万円までの投資で得た売却益や配当が非課税になる少額投資非課税制度(NISA)について、現行5年の非課税期間を延長する方向で検討に入った。個人が投資で長期の資産形成をしやすい環境を整え、貯蓄から投資の流れを後押しする。国内総生産(GDP)600兆円の実現に向け、家計の金融資産を市場に呼び込み、日本経済の成長力を押し上げるのが狙いだ。(万福博之)
金融庁は今夏の税制改正要望で、非課税期間を2年以上延長するよう財務省に求める方向。合わせて、平成26年から35年までの10年間の時限措置である制度自体の恒久化の要望も視野に入れる。
政府が2日に閣議決定した「日本再興戦略2016」には「家計の安定的な資産形成を促すべく、NISAのさらなる普及と制度の発展を図る」と明記された。NISAの口座開設数は27年末に987万口座となり、26年末と比べ約2割増えた。制度の拡充で個人の投資を促し、投資で稼いだ利益が消費に回る好循環にもつなげたい考えだ。
非課税期間の延長は、NISAの口座を使って投資を続けたい個人の手間や金融機関の負担を回避する狙いもある。
NISAが始まった26年に購入した株式や投資信託は、30年末に非課税措置が終わる。非課税措置が切れた金融資産は売却するか、課税される通常の口座に移管するほか、31年分のNISA口座に資産を移して非課税投資を継続する「ロールオーバー」という選択肢もある。
だが、ロールオーバーできるのは非課税枠の120万円までで、資産を移す際に時価が120万円を超えていれば、差額分は売却または通常口座に移管しなければならない。金融機関にはシステム負担や顧客への説明で手間がかかる。非課税期間が延びれば、これらを避けられる。
一方、現行の非課税枠は5年で最大600万円であり、延期すれば1年延ばすごとに120万円分ずつ非課税枠が増えていくことに相当する。金持ち優遇との批判を受けかねず、財務省は慎重な姿勢だ。
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