企業の生産性向上が景気浮揚のカギ、中小への浸透が課題に
GDP1~3月期年率1.9%増政府が8日発表した平成28年1~3月期のGDP改定値は2四半期ぶりのプラス成長だったが、個人消費は力強さを欠き、景気の停滞感が改めて確認された。海外経済の下振れリスクも高まり、企業は技術革新などを通じ、環境悪化に負けない「体力作り」を進めている。ただ、こうした取り組みが中小・零細企業に広がらなければ、日本経済全体の底上げはおぼつかない。政府による支援の加速も求められそうだ。
人工知能(AI)など最先端技術で、自社や顧客の生産性向上を進めているのは、自動車や電機業界だ。
トヨタ自動車は1月、AIの研究開発態勢の強化に向け米シリコンバレーに新会社を設立。今後5年で10億ドル投じる。ホンダも子会社の本田技術研究所が9月にAIの新拠点を都内に開設する。日立製作所は企業の経営判断を支援するAIの基礎技術を開発。東原敏昭社長兼最高経営責任者は「デジタル技術を駆使し、顧客の生産性を向上させたい」と意気込む。
このほか、ソフトバンクグループは8月にも農地流通を支援する新会社を設立し、政府が成長分野とする農業の生産性向上にITで貢献する。ローソンは発注業務を半自動化して効率化するシステムを導入した。
企業が生産性向上を進めるのは、収益力や競争力を強めると同時に、少子化による労働力不足などの課題にも対処するためだ。
ただ、こうした取り組みは、全企業の9割以上を占める中小、零細企業には浸透していない。
売上高がなかなか伸びず、資金的余裕が乏しいうえ、「工程効率化にITを導入したいが使いこなせる人がいない」(福岡県の鋳物製造業)といった人材面の悩みも抱えているからだ。
課題解決に政府も本腰を入れ始めている。今年の通常国会では、生産性向上につながる設備投資関連の固定資産税を減税する「中小企業等経営強化法」が成立した。新しい成長戦略にはITやロボット導入の専門家が、中堅・中小企業を2年で1万社以上支援する目標を盛り込んだ。
ただ、こうした枠組みも中小企業が実際に使わなければ実効性がない。民間側の意識改革がどこまで進むかも同時に問われそうだ。
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