世界最高品質の日本のアイスクリーム、外国で売れていない理由とは?

新興国に翔ける

 □スパイダー・イニシアティブ代表 森辺一樹

 まず最初に言いたい。日本で市販されているアイスクリーム類の品質は世界一である。

 例えば、江崎グリコの「ジャイアントコーン」のコーン部分、森永製菓の「チョコモナカジャンボ」のモナカ部分には、世界最高峰の技術力が生み出した見事なサクサク感が盛り込まれている。また、森永の「パルム」には、バニラアイスの濃厚な味わいとなめらかさに加え、チョコの口溶けが絶妙にマッチしている。

 正直、こんな高品質のアイスを100円程度で、コンビニエンスストアやスーパーマーケットで売る日本企業はすご過ぎる。このような技術は日本ならではで、海外ではアイスクリーム専門店でなければ、こんなサクサク感や口溶けの食感を出すことはできない。

 しかし残念ながら、日本のアイスクリームは世界の国々でまったく売れていないという事実がある。正確には、売っていないのだ。

 それには大きな理由がある。まず、アイスクリームの文化が日本と世界の国々ではまったく違うのだ。

 例えば、新興国では小売店で売られているアイスクリームは30円程度で買える。ジャイアントコーンがサクサクだからといって130円で売られていても、買う人はいない。コンビニやスーパーのアイスクリームにはそこまでの品質が求められていないため、日本で生み出した過剰といえるほどの品質は、新興国では定着しない。

 もう一つ、人気が得られない要因として、新興国では現地で製品を生産してから小売店に並べるまでに要する物流のレベルが非常に低いことが挙げられる。アイスクリームを一定の温度に保ったまま届けることや、小売店でも一定の温度を維持することが、なかなかできない。そうすると、消費者の手に届くまでに温度が上がり、サクサクのはずのコーンやモナカも「ぬれせんべい」のようになってしまう。これではせっかくの技術がまったく生かされないというわけだ。

 では、新興国がダメなら先進国ではどうだろう。実は先進国でもだめで、「所詮(しょせん)、コンビニのアイスでしょ」という見方をされてしまい、消費者はジャイアントコーンやチョコモナカジャンボほどの品質を求めない。おいしいアイスが欲しくなったら、高級アイスクリーム専門店の「コールド・ストーン・クリーマリー」や「ハーゲンダッツ」で500円の商品を選ぶという人が多いのだ。

 一方、日本では「所詮」という考え方はない。専門店よりもコンビニでアイスクリームを買う人の方が多く、そこでどれだけおいしいアイスクリームが売られているかが重要という市場なのだ。これは世界で唯一、日本だけの市場といえるだろう。

 日本には厳しい消費者の目があり、少子高齢化によって子供の食べものだったアイスクリームを、大人が食べたくなるクオリティーに押し上げてきたという背景があった。

 このようにして鍛えられた技術や品質がなかなか世界で生きないのは、非常に残念なことだ。日本のアイスクリームメーカーには、自慢の技術をどうすれば世界で生かすことができるのかを、ぜひ見いだしてほしい。

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【プロフィル】森辺一樹

 もりべ・かずき 海外販路構築のスペシャリスト。10年以上にわたり1000社以上の海外展開の支援実績を持つ。アジア新興国市場の販路構築が専門。海外市場開拓コンサルタントの第一人者として活躍中。“アジアで売る”ためのノウハウをネットラジオで無料配信中! www.spyderagent.com/podcast

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 >>森辺氏のツイッターは @kazukimoribe