予想外の結果に市場大荒れ 収束には主要国の政策協調が焦点に

英EU離脱
英国のEU離脱派の勝利を受け、大幅下落した日経平均株価の終値などを表示するボード=24日午後、東京・八重洲

 英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利したのを受け、24日の東京市場では投資家が大混乱に陥り、まれにみる急激な円高・株安に見舞われた。欧州情勢や世界経済の先行きに不透明感が強まり、当面は安全資産とされる円や主要国の国債が買われやすく、世界同時株安の流れが続く恐れがある。先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁は24日夜に緊急の電話会議を開き、市場安定に向けた声明を発表。G7が結束し、影響を最小限に抑えられるかが焦点となる。

 「前日の時点では残留濃厚というムードが一気に広まっていたので、離脱派の勝利は想定外の結果。これで先が読めなくなった」

 ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストはこう嘆息した。

 東京市場では、開票速報が伝わるたびに円相場や株式相場が乱高下したが、離脱派の勝利が濃厚になると投資家がリスク回避に急傾斜した。投資マネーは円や日本国債に一斉逃避し、円相場は1ドル=100円の大台を一気に突破。この日の変動幅は7円60銭と異例の大きさだった。リスク資産の株式は「売りが売りを呼ぶ」悪循環となり、日経平均株価の下げ幅はリーマン・ショック時を超えた。

 従来は懸念材料にとどまっていた英国のEU離脱が現実化したことで、世界の金融市場は当面、不安定な展開を余儀なくされる公算が大きい。野村証券の木下智夫チーフ・マーケット・エコノミストは「短期的には円相場は1ドル=98円まで上昇するリスクがあり、日経平均株価は1万4500円程度までの下落を考慮する必要がある」と語る。

 ただ、三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「英国のEU離脱で、ただちに金融システムが動揺したり金融危機に飛び火したりする可能性は低い。世界的な株安になっても、金融市場の機能が大きく損なわれたリーマン・ショックのような激震が走る展開にはならない」との見方を示す。

 英国のEU離脱で、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げが一段と遠のくとの見方も強まりそうだ。FRBのイエレン議長は今月21日の議会証言で、英国の国民投票の結果は「経済に多大な悪影響を及ぼす恐れがある」と指摘。米国が追加利上げに踏み切りにくくなれば円高圧力にさらされ、日本株相場にも逆風となってくる。

 世界的な市場の動揺に一国で対処するのは困難で、G7が足並みをそろえて抑え込む取り組みが欠かせない。G7財務相・中央銀行総裁は24日夜の声明の中で「市場の動向と金融の安定を緊密に協議し、適切に協力する」と強調。為替相場の急激な変動を牽(けん)制(せい)するとともに、市場の動きを支えるために各国の中央銀行が流動性供給のための手段を用いる用意があるとした。

 協調行動が求められるのは、国際金融にとどまらない。ニッセイ基礎研究所の井出氏は「他のEU加盟国で『離脱ドミノ』につながるのが金融市場にとっても最悪シナリオ。欧州各国の政府の対応が重要だ」と語った。(森田晶宏)