日銀・黒田総裁「影響を注視」 市場の混乱が続けば、追加緩和を求める声が高まる可能性も
英EU離脱英国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利したのを受け、日銀は24日、「国際金融市場に与える影響を注視する」との黒田東(はる)彦(ひこ)総裁の声明を発表した。リーマン・ショック並みに市場の混乱が長引けば、臨時の金融政策決定会合で追加の金融緩和を打ち出すよう求める声が高まりそうだ。
黒田総裁は28日まで国際決済銀行(BIS)の会議のためスイスに出張中。24日に円相場が一時1ドル=99円台に急騰すると、日銀本店は一気に緊張ムードに包まれた。ただ、その後はやや円が売り戻され、安(あん)堵(ど)する幹部もみられた。
3月の日銀企業短期経済観測調査(短観)で大企業・製造業の今年度の想定為替レートは117円46銭。急ピッチの円高に歯止めが掛からなければ、企業マインドは著しく悪化し、国内生産や設備投資への意欲は乏しくなる。日銀が「平成29年度中」としている2%の物価目標達成も不可能とみなされる。
このため、野村証券の美和卓チーフエコノミストは「政府の円売り介入に連動し、日銀が臨時会合で緊急の追加緩和を打つべきだ」と唱える。日銀によると夜間や週末の開催も可能で、海外出張中の黒田総裁がテレビ会議などで参加することもできるが、現段階での必要性は「ノーコメント」(幹部)としている。
円高・株安対策と並んで重要なのが、金融機関の資金繰りだ。金融市場が不安定になって金融機関同士の外貨の融通が細り、手元外貨が不足する事態も想定される。
邦銀は既にポンドやドルを通常より厚めに確保している。三井住友銀行は「ドルもポンドも十分な量を手当てした」(国部毅頭取)という。それでも、有事のドル買いが集中してドル資金の出し手が枯渇した場合、日米欧の主要中央銀行は協調して大量のドル資金を供給する。中曽宏副総裁は24日夕、報道陣に対し「ドルの流動性確保は盤石」と自信をみせた。
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