「犬肉、堂々と食すべし」 朝鮮半島の伝統食文化…うまいものはうまい

 

【外信コラム】ソウルからヨボセヨ

 日本で土用丑の日にウナギを食べるように、韓国では盛夏の「三伏(サムボク)」に夏バテ防止として「補身湯(ポシンタン)」を食す風習が残っている。犬肉の鍋だ。すりつぶしたエゴマの実と薬味を混ぜたタレによく合う。今年は三伏の最初の「初伏(チョボク)」が17日だった。2番目の「中伏(チュンボク)」は27日だ。

 初めて犬を食べたのは1993年に韓国北西部の江華島(カンファド)で。対岸の北朝鮮黄海道(ファンヘド)出身のおばあさんが、アルミの洗面器のような鍋で犬肉を煮てくれた。

 97年に中国吉林省延辺朝鮮族自治州の開山屯で食べた補身湯も忘れられない。中朝国境を流れる豆満江のほとりの店で、素焼きの鍋にニクロム線を入れドロドロに煮込んだ犬肉を味わった。

 補身湯のルーツは北方との説があり、いずれも野趣に富んだ絶妙な味だった。今日ソウルで食べるものより、元来の味に近いと信じている。

 その補身湯、韓国ではこの時期になると「犬を食うか、食わないか」と必ず論争の種になる。女性や若い世代は「かわいそう」と敬遠。欧米や動物愛護団体からの圧力のせいか、腰が引けている感もある。

 食べるのはペット用ではなく食用犬。しかも、犬肉料理はれっきとした朝鮮半島の伝統食文化である。第一、うまいものはうまい。「犬肉、堂々と食すべし」と犬肉敬遠派の韓国人には説いている。(名村隆寛)