インドネシアの中古車両、安全性も日本並み JR東が整備伝授
インドネシアの首都ジャカルタの鉄道で、日本からの中古車両が活躍している。かつては車両点検や整備が不十分で運行上の不安もあったが、今や通勤通学で庶民の足として定着。JR東日本から派遣された日本人が整備のノウハウを伝えて安全性を追求しており「日本並み」に安心できる公共交通機関に育っている。
「車内は快適。時間通りに来れば、さらにいいんだけど」。電車通勤している男性会社員のイッサ・アルマワディさんの感想だ。
JR東日本や東京メトロ、東京急行電鉄からジャカルタ首都圏鉄道会社に譲渡・売却された車両は、2000年以降で計約850両。首都圏を走る電車の98%が日本からの中古車両となった。
「車両点検といってもヘルメットもかぶらず、工具も持っていなかった」。昨年3月から鉄道会社へ派遣されているJR東日本の前田健吾さんは当初の様子を振り返って苦笑した。
点検や修理の方法も確立していなかった。故障すれば、その箇所を別の車両の部品と交換するだけ。車両基地などには、部品のほとんどが取り外されて廃車となった約230両が無残な姿をさらしていた。
「壊れる前に修理、交換する意識はなく、経営陣も現場に適切な指示ができていなかった」と前田さん。JR東日本のノウハウを基に、経営陣と現場代表が一緒になって日々の点検や整備の手順をマニュアル化した。
2人一組で、所要時間45分で十数両を点検整備する目標を設定。日本からの部品供給ルートも構築し、壊れる前に交換できる態勢を整えた。乱雑だった工場内も整理整頓し、清潔かつ安全にした。
前田さんは「日本と同じような予防保全策を自分たちの手で作り上げることができ、自信につながった」と評価する一方、「保守点検システムが完成して車両故障は激減したが、高品質な輸送の提供にはまだまだ」と手厳しい。
走行する車両には行き先表示がない。約80ある駅のうち7駅に券売機を設置したが、往復切符を買う習慣がなく、いつも混み合う。駅内で乗客が線路上を横切り、運行が遅れることも。問題は依然、山積だ。
日本は昨年、ジャカルタがあるジャワ島の高速鉄道計画の受注競争で中国に敗れたが、首都とジャワ島東部スラバヤを結ぶ既存鉄道の高速化への参画が期待されている。
「JR東日本だけでは限界があり、日本のメーカーの協力が不可欠」と前田さん。インドネシア鉄道の近代化に「オールジャパン」で取り組みたいと熱く語った。(ジャカルタ 共同)
関連記事