成長戦略原案のポイント解説 1億総活躍や地方創生、21世紀型の“列島改造”も

 

  政府の経済対策原案は、1億総活躍社会の実現や経済成長に向けたインフラ整備、英国の欧州連合(EU)離脱に備えたリスク対応が柱となる。主な施策をまとめた。

1億総活躍社会

 安倍晋三政権が目指す「1億総活躍社会」の実現は、大きな経済対策の柱の一つだ。財源については、景気回復による税収増といった「アベノミクスの成果」の活用などを検討するとした。

 具体的に進めるテーマとして、(1)「子育て・介護の環境整備」(2)「若者への支援拡充、女性活躍の推進」(3)「社会全体の所得と消費の底上げ」-の3つを挙げた。

 「子育て・介護」では、保育・介護の受け皿整備や保育士、介護人材の処遇改善、雇用保険料の時限的な引き下げなどを盛り込んだ。「若者・女性支援」では、給付型奨学金の実現や、必要とする若者すべてが無利子奨学金を受給できるようにすることなどを明記。「所得・消費の底上げ」では、働き方改革の実現のほか、平成29年度中に年金受給資格期間を従来の25年間から10年間に短縮することを盛り込んだ。

 21世紀型のインフラ整備

 中長期的な経済成長を図るため「21世紀型のインフラ整備」を打ち出す。4年後の目標に掲げた「外国人観光客4千万人時代」に向け、大型クルーズ船が寄港できる港湾整備などを推進。東京五輪・パラリンピックに先立ち、首都圏の空港機能も強化する。

 「攻めの農林水産業」では、農産品の加工施設の整備や通関手続きの簡素化などにより輸出額1兆円を目指す。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を踏まえ、次世代の担い手育成や農地の大区画化も進める。

 また「リニア中央新幹線」は平成57年予定の名古屋-大阪間開業を最大8年間前倒しするため、JR東海に対する財政投融資を実施する。このほか、介護現場へのロボット導入や人工知能の研究拠点整備など「生産性向上」を加速するほか、日本企業による鉄道などの「インフラ輸出」への支援も強化する。

 英EU離脱対応

 英国の欧州連合(EU)離脱問題などにより経営環境の不透明感が増す中小企業に対し、経済対策では資金繰りや競争力強化につながる支援策を並べた。急激な円高や欧州進出企業との取引縮小の影響を抑えるため、万全を期す構えだ。

 資金繰り支援では、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などの政府系金融機関が低利融資を実施。また、国際協力銀行(JBIC)が企業の海外事業を後押しする「海外展開支援融資ファシリティ」の実施期限を平成30年6月末まで2年間延長する。

 中小企業の経営力強化や生産性の向上については、IT関連の投資や新商品・サービスの開発に補助金を出すなどの支援を行う。賃金を底上げした事業者に対する設備投資の助成金も拡充する方針だ。このほか大企業との間で不公正な取引が行われないよう、下請法の運用も強化する。

 地方創生・防災

 安倍晋三政権の看板政策である地方創生も主要テーマの一つとなる。地域経済の活性化に向けた地方自治体の取り組みを支援する「地方創生推進交付金」を拡充するほか、鉄道立体交差化やバリアフリー化、無電柱化など生活密着型の社会資本整備を推進する。さらに、空き家を交流施設などに改修する際の支援や、建設業の担い手を確保・育成する施策も盛り込んだ。

 熊本地震や東日本大震災からの復旧・復興も大きな柱だ。熊本地震関連では、災害公営住宅の建設を急ぐとともに、道路や施設の復旧を着実に進める。被災自治体を対象とする復興基金も創設する。東日本大震災の復興に向けては、復興道路などの整備や東北の観光振興を推進する。

 また災害対応も強化し、避難所となる庁舎の防災機能の向上や、防災情報の伝達体制の整備などにも取り組む。