空白地帯へのコンビニ出店支援 岡山県和気町、最大2000万円補助

 
和気町が最大2000万円を用意する出店支援補助金制度の第1号店として、コンビニエンスストア「ローソン」の出店が決まった=岡山県和気町

 政府が力を入れる地方創生の波に乗り、地域活性化に取り組む岡山県和気町では今月、町内のスーパーマーケット空白地帯にコンビニエンスストア「ローソン」のフランチャイズ出店が決まった。同町が打ち上げた最大2000万円を補助する、出店支援制度を利用した第1号店だ。政府が地方創生を掲げて2年あまり。全国市町村では産業誘致や移住者の就業支援など、地方経済の再生をかけた動きが活発化している。

 人口減少で商店閉鎖

 岡山県の南東部に位置する和気町は人口1万5000人、岡山市街地まで電車で約30分の町だ。町民アンケートの結果、要望の強い書店やコンビニのフランチャイズ出店を促そうと、最大2000万円を補助する「出店支援補助金」制度を5月に創設した。制度創設を受け、県内からオーナーと店長が名乗りを上げた。審査委員会の基準に基づき、補助額の目安は240万~360万円程度となる見込み。今後5年間で分割して交付される。出店が決まった地域はコンビニやスーパーマーケットが一つもなく、住民は車で20分以上かけて買い出しをするという。

 政府の「地方創生人材支援制度」により、昨夏に財務省から和気町に派遣された総合政策監の小西哲史さんは「地元をよく知る人たちが経営相談に応じ、出店者を継続してサポートする」と、金銭面にとどまらない支援体制に自信をみせる。

 和気町は2014年の出生数が63人と10年前から4割近く減少。20代、30代の人口減少が問題となっている。移住定住を推進する一方、商店の閉鎖が続くなど、利便性の面でのテコ入れが課題だった。

 起業家誘致呼びかけ

 安倍政権は、人口減少が深刻化する地方の活性化に発破をかけている。活性化の鍵を握るのが、移住者の呼び込みと新たな経済活動が根付くこと。和気町のみならず各自治体は支援策に知恵を絞っている。

 福島県は昨年、「リーダー的起業家進出支援補助金」制度を創設。県外居住者を対象に、起業家誘致を呼びかけている。県内への移転を条件に、200万円を上限に経費を補助する。同県産業創出課は「地元の創業者のリーダーとなってくれるような、波及効果のある起業家にきてもらいたい」と話す。

 新潟県燕市は、江戸時代から盛んな金属加工産業の後継者育成を目的に、技能研修生を募集。市内での就職や開業を条件に「奨学金」を支給する。3年間にわたり、県の最低賃金相当額を勤務日数分、支払う。

 奨学金制度は07年に開始し、従来は市内からの応募が多いという。しかし同市商工振興課は「金属研磨の技術は高付加価値を生み出すとして、改めて注目されている。IターンやUターンも大歓迎」と、全国からの応募を視野にPRしている。

 地方雇用に希望

 インターネットを通じ不特定多数の人に業務委託する「クラウドソーシング」の広がりも、地方の雇用創出には朗報だ。クラウドソーシングサービスのランサーズ(東京都渋谷区)は地方自治体と連携し、地方在住者が全国の仕事を受注するノウハウを学ぶ「遠隔授業」の提供を先月にスタート。第一弾は、この2年で子育て世代の移住者が増えた山梨県小菅村だ。

 手をこまねいていては、地方から始まる人口減少と経済衰退に歯止めはかからない。官民の垣根を越えた地方の元気な取り組みが、日本経済へ波及することが期待される。