韓国、AIなど9分野に2000億円 将来の成長エンジンに注力

 

 先端技術分野の育成に取り組む韓国政府は、人工知能(AI)や仮想現実(バーチャル・リアリティー=VR)など9分野の育成に2026年までに官民合計で2兆2000億ウォン(約2061億円)を投じる方針を明らかにした。現地紙コリア・ヘラルドなどが報じた。

 この方針は、朴槿恵(パク・クネ)大統領が議長を務めた「科学技術戦略会議」で承認された。育成を図るのは、AI、VRと拡張現実(オーグメンテッド・リアリティー=AR)のほかスマートシティ、自動運転技術、軽量化素材、個別化医療(プレシジョン・メディシン)、新薬、炭素利用、粒子状物質対策の9分野。政府が1兆6000億ウォンを投じるほか、民間からの投資を6000億ウォンと見積もった。

 韓国政府は、19年までにAIを専門とする企業100社、技術者3000人を支援する。26年には支援企業を1000社、技術者を1万2000人に引き上げ、世界トップレベルの水準に追いつきたい考えだ。

 また、VRとARの分野は米国を参考に、技術力の向上を図る。ARはデジタル技術で現実空間を拡張する技術で、スマートフォンの位置情報を利用してデジタル空間と現実空間を融合させた「ポケモンGO」の世界的ヒットで注目を集めている。

 米金融大手ゴールドマン・サックスの予想では、VRとARの世界市場の規模が現在の22億ドル(約2286億円)から25年には800億ドルに拡大する見通し。韓国政府は18年に10社を支援し、20年には支援対象を50社に引き上げるなどして、25年に世界シェア5%獲得を目指す。

 韓国政府は、9分野のうちAI、VRとAR、自動運転技術、スマートシティ、軽量化素材を将来の成長エンジンのグループと位置付け、残り4分野を国民の生活向上のグループとして、それぞれ育成に注力する。

 朴大統領は「科学技術に改めて注目し、現在の厳しい経済情勢を脱して新しい時代を切り開きたい」と意欲をみせた。(ソウル支局)