銀行6割の総資金利ざや縮小 日銀追加緩和はギリギリの判断に
2016年3月期に約6割の銀行の総資金利ざやが縮小したことが12日、東京商工リサーチの調べで分かった。日銀の黒田東彦総裁は「マイナス金利の深掘りも『量』の拡大も、まだ十分可能だ」と追加金融緩和を辞さない構えだが金融機関収益に配慮する考えも示している。20、21日の金融政策決定会合では、ギリギリの判断を迫られそうだ。
同社が114行の資金運用利回りから資金調達コストを差し引いた「総資金利ざや」の中央値を調べた。16年3月期は0.17%と、前年から横ばいだった。
ただ63行で総資金利ざやが縮小した。福島銀行(0.24ポイント縮小)▽西京銀行(0.15ポイント縮小)▽福井銀行と大東銀行(0.11ポイント縮小)-の順に縮小した。利ざやが拡大したのは、佐賀銀行や西日本シティ銀行など39行にとどまった。
総資金利ざやがマイナスであることを示す「逆ざや」となった銀行は前年よりも1行増え、12行あった。大手行は3行、第一地方銀行は6行、第二地銀は3行で、規模に関係なく超低金利環境に苦しむ銀行の姿が浮き彫りになった。
2月に導入したマイナス金利政策の影響はほとんど反映されておらず、今期は一段と厳しくなっている可能性が高い。金融庁は3メガ銀行の今期業績について「マイナス金利で3000億円程度の減益要因になる」と試算。金融界はそろってマイナス金利に反発しており、日銀首脳はこのところ相次いで金融機関に配慮する発言をしている。
一方、今後の金融政策運営について、黒田総裁は「日本経済全体にとってベネフィット(恩恵)が上回るのであれば、追加緩和を躊躇(ちゅうちょ)するべきではない」と述べている。マイナス金利の費用対効果をどう見るのか、次回日銀会合の議論に市場は注目している。
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■金融仲介機能をめぐる日銀首脳の発言
◆布野幸利審議委員(8月31日)
・金融仲介機能が毀損(きそん)するような状態は、中央銀行として望むところではない
◆黒田東彦総裁(9月5日)
・マイナス金利政策を考える上で、金融仲介機能に与える影響についても考慮する必要がある
・金融機能の持続性に対する不安をもたらし、経済活動に悪影響を及ぼす可能性には留意する必要がある
◆中曽宏副総裁(8日)
・マイナス金利の導入時から、金融仲介機能が悪化することになってはいけないということが最も重要な論点だった
・保険や年金の運用利回りの低下や貯蓄性の商品の一部販売停止、退職給付債務の増加につながっている
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