小池百合子都政、豊洲の盛り土問題を実態解明へ 東京五輪で移転急ぐ?…誤った広報
東京都が築地市場(中央区)の移転先の豊洲市場(江東区)で土壌汚染対策の「盛り土」を主要施設下で実施していなかった問題は、小池百合子知事が12日の幹部会議で調査を指示し、実態解明が始まった。専門家の提言と食い違う対策を独断で進めた「決定プロセス」や、誤った広報を続けた「情報公開」の背景に何があるのか。小池氏主導の調査では、2020年東京五輪・パラリンピックに向け移転の作業を急いだ可能性もあるとみて事実確認が行われる。
「建物建設地 土壌 (1)2メートルまでの土壌を掘削し、入れ換え。(2)さらに上部に2・5メートルの盛り土」
平成20年7月、都庁第1本庁舎5階大会議場。豊洲市場の敷地で確認されたベンゼンなど有害物質への対策について検討してきた専門家会議が提出した報告書は、「都がとるべき対策のあり方」の一つとして建物下に計4・5メートルのきれいな土を盛るよう提言した。
専門家会議は報告書提出で活動を終了。都は報告書に書かれた土壌汚染対策を実現する方策を検討するため、同年8月には別の有識者を集めた技術会議を発足させた。だが都は技術会議に専門家会議の報告書を示す一方、水面下では主要施設の部分について盛り土を行わずに約4・5メートルの空洞を設ける設計を進めた。
空洞に配水管などを集めて設置し、メンテナンスを効率的に行う狙いがあったといい、これを反映させる形で施設部分の盛り土をしない土壌汚染対策の実施完了報告を26年11月の技術会議で行った。都幹部によると、専門家会議の提言内容と違うことへの踏み込んだ説明はしなかった。
「技術会議はあくまでもどうやったら工事ができるかを考えるところであり、安全性の評価は専門家会議の役割」。都幹部はこう釈明する。だが、その変更を肝心の専門家会議のメンバーにも諮っていない。都は「手続き上の問題があった」とするが、なぜ、そのような事態が起きたかが調査の解明ポイントになる。
議会やホームページなどで、実態と異なる説明をしてきたことも調査対象となる。担当者の説明によると、9月に入って外部から指摘があって問題を認識し、対応を検討していたとしている。それまでは「問題だと思いが至らなかった」というが、市場関係者の一人は「安全性という最も大事なことに対する情報公開の間違いに気づかないなんて、納得できない」と疑問視する。
小池氏に近い都関係者が着目するのは、東京五輪に向け進んできた市場の移転スケジュール。選手村などができる臨海部と都心部を結ぶ環状2号線の一部が築地市場跡地を通り、都は五輪までの「整備完了」から逆算する形で今年11月の豊洲開場を設定していた。
都関係者は「豊洲の工事を急いだ可能性がある」と指摘。小池氏が12日に開いた幹部会議には、オリンピック・パラリンピック準備局幹部の姿もあった。
元日本環境学会会長の畑明郎氏は施設下に水がたまっていることに着目。「水中のベンゼンは揮発しやすく、軽い。建物のコンクリートが古くなってヒビが入れば、そこから漏れる可能性もある」と安全面での懸念に警鐘を鳴らす。
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