「基礎控除」見直し検討 政府、低所得者層の負担軽減
政府がすべての納税者に適用される所得税の「基礎控除」の見直しを検討していることが13日、分かった。高所得者ほど減税の効果が大きいため、減税額を一定にする案や所得制限を設ける案などが浮上している。非正規雇用の拡大などで家族を養う経済的余裕がない若年層が増える中、低所得者の税負担を軽くするため、高所得者には一定の負担を求める。
政府税制調査会で、専業主婦世帯などの所得税負担を軽くする「配偶者控除」の見直しとともに議論する。2017年度税制改正に向け、11月にもまとめる提言に基礎控除見直しの方向性も盛り込みたい考えだ。
基礎控除は年収から38万円を差し引いて課税対象額を軽くする「所得控除」という仕組み。課税対象額を減らした後に、所得額に応じ5~45%の累進税率をかけて納税額を計算するため、減税額は税率が高い高所得者ほど大きくなる。
これを納税額から直接一定額を差し引く「税額控除」に転換する案が浮上。所得の大小にかかわらず減税額は同額になるので低所得者は今より減税、高所得者は増税になる公算が大きい。
また、年収が一定以上なら適用を制限したり、控除を段階的に縮小したりする案もある。配偶者控除はすべての夫婦世帯に適用する「夫婦控除」への転換が有力視されるが、対象世帯が増えると税収が減少するため、基礎控除の見直しで財源を賄う案もある。
基礎控除は納税者が最低限の生活を営むために必要な収入を守る趣旨で1947年に創設された。現在約5900万人が利用し、全体で1兆8000億円程度税負担が軽くなっている。社会構造の変化で、若年層は収入が低いのに税や社会保障負担が重くなっており、政府は基礎控除をはじめとする控除制度全体の見直しで負担の是正を図る方針だ。
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