300万世帯に恩恵 就労促進は道半ば 高所得世帯の消費抑制も

配偶者控除見直し

 「働き方改革」を掲げる政府・与党は配偶者控除の見直しにより、税負担増を嫌って働く時間を増やすのに消極的だったパート主婦らの就労を促す。ただ「103万円の壁」以外に、社会保険料の負担や企業の配偶者手当ての支給基準など、就労を阻む壁は残る。控除の対象から外れる高所得世帯は増税となり、景気にはマイナスに作用するとの懸念も根強い。

 配偶者控除は妻の年収が103万円以下であれば、夫の所得から38万円を差し引いて税負担を軽減する。このため、年収が103万円以下になるよう就労時間を制限するパート主婦らが多いと指摘されていた。

 現在、年収100万円以下のパート主婦の割合は56・2%、150万円以下が85・6%にのぼる。年収要件の引き上げで300万世帯超は減税の恩恵を受ける見通しだ。政府は最低賃金を「1時間あたり1千円」に引き上げる目標を掲げるが、仮に時給1千円で1日6時間・週5日勤務した場合の年収は約144万円で、年収要件の拡大の範囲に含まれる見通しだ。

 ただ、配偶者の就労を妨げる「壁」は他にもある。例えば、年収130万円になると厚生年金や健康保険の支払いで、手取りが減る。10月からはこの基準が大企業で106万円に引き下げられた。また、企業が支払う「配偶者手当て」も、支給基準の多くが現行の配偶者控除と同じ103万円に設定されている。

 現在も年収141万円までは配偶者特別控除により一定の控除が受けられる。それでもパートで働く主婦らが働く時間を減らすのは、こうした壁があるからだ。

 政府はこれらの制度について見直しを呼びかけており、一部企業は配偶者手当ての廃止や子育て手当てなどへの転換を検討している。だが、制度変更には時間がかかり政府の環境整備は不可欠だ。

 また、配偶者控除の見直しで高所得層の100万世帯は増税になる。消費の牽引(けんいん)役である高所得層の税負担増は、景気の下押しにつながる恐れがある。(万福博之)