2017年春闘も「官製」の色合い強く 賃上げ手法めぐり労使交渉難航も
2017年春闘に向けた労使それぞれの方針がほぼ固まった。安倍晋三首相の賃上げ要請もあり、労使とも賃上げの必要性では一致する。ただ、従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)へのこだわりを強調する連合に対し、経団連は年収ベースの賃金引き上げという昨年同様の基本姿勢は変えてない。今年も政府の意向に配慮する「官製春闘」の色合いが強いが、賃上げの手法をめぐり労使交渉は難航も見込まれる。
連合はこのほど春闘方針である「連合白書」を発表。一方、経団連は経営側の春闘の指針となる「経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」の最終案を会長・副会長会議で了承しており、来週に正式決定する。
これを受けて2月上旬に経団連の榊原定征会長、連合の神津里季生会長による労使のトップ会談が開かれ、この場で17年春闘の交渉が本格スタートする。
デフレ脱却を進めるためにも、賃上げが欠かせないとの認識では既に労使は一致している。しかし、賃上げの手法については、「ベア2%程度を基準として 定期昇給を含め4%程度の賃上げを求める」とする連合に対し、経団連は「収益が中期的に改善する企業は年収ベースの賃金引き上げ」とし、思惑の違いをみせる。
政府は、安倍首相が経済界に対し、少なくとも前回春闘並みの水準の賃上げを期待したいとした上で、4年連続のベア実現を求めている。このため、経労委報告ではベアを賃金引き上げの手法の柱と位置付けており、昨年よりも「踏み込んだ」(榊原会長)表現とした。ただ、将来の人件費上昇につながるベアには、多くの企業が慎重なのが実情だ。一方、労使とも今回の春闘方針には、過去3年の総括も反映した。
連合白書は前年まで「経済の好循環の実現」をテーマに盛り込んでいたが、今年はこの表現を使用しなかった。今春闘を「再びデフレの深い闇に舞い戻るかどうかの分水嶺(ぶんすいれい)」と位置付け、これまで以上に強い危機感を背景に、経営側との交渉に臨む姿勢を明確にした。
また経団連は、過去3年間に高水準の賃上げを実施したにもかかわらず、賃上げ分が社会保険料の上昇分で相殺されることなどで、消費に回っていないと分析。政府に対して、将来不安をなくすための社会保障制度改革の断行を求めた。(平尾孝)
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