千代田区長選、「代理戦争」で自民大敗 都議選・次期衆院選へ戦略見直しの妙案は?

 
千代田区長選で、当選確実の報道を受けて万歳する石川雅己氏(中央)と、小池百合子都知事(左)=5日午後、東京都千代田区(桐原正道撮影)

 自民党執行部は東京都連の推薦候補が敗れた5日の千代田区長選が夏の都議選、その先の次期衆院選の勝敗に大きな影響を与えかねないと危機感を強める。「東京大改革」を旗印に都連との「代理戦争」を仕掛けた小池百合子都知事に軍配が上がり、「小池旋風」が衰えを知らないことを見せつけられたからだ。

 「都議選に影響が出ないようしっかり頑張る」

 推薦候補の敗北確実の報を受け、井上信治副幹事長(都連政調会長)はこう記者団に力なく語った。ほかに推薦候補の事務所に顔を出した国会議員は都選出の若手数人のみ。井上氏は、都連推薦候補以外を支援した若狭勝衆院議員に対し、下村博文都連会長(党幹事長代行)が厳重注意したことを明かしたが、その下村氏自身は姿を見せなかった。「都連と国政は別」との印象を与えたいとの思いがにじんだ。

 都議選は地方選挙の一つにすぎないが、結果は直後の国政選挙に連動する傾向がある。平成21年夏の都議選で大敗した自民党は直後の衆院選に惨敗し、下野。5年の都議選は小池氏も所属した日本新党が躍進し、続く衆院選で非自民勢力の連立政権誕生につなげた。

 都連関係者からは「今回も風が吹き荒れる可能性は十分ある」との警戒の声もあるが、都連内は感情的なしこりが根強い。「小池氏が連打するジャブを避けてばかりいても仕方ない。打ち返さなければ都議選で判定負けする」との主戦論が飛び交う。

 一方、党執行部では小池氏との全面対決は「“小池”にはまってさあ大変という事態を招き、得策ではない」との見方が支配的だ。安倍晋三首相(党総裁)が2020年東京五輪・パラリンピックの成功を旗印に、小池氏に融和的な姿勢をとるのもその表れだ。感情的な対立に固執したままでは国民の信頼を失いかねないとの危機感も漂う。

 小池氏も五輪を見据え安倍政権と自民党本部との協力は不可欠と踏む。そんな事情を見越し、二階俊博幹事長は小池氏の動きを「ほっとけばいい」と様子見を決め込む。

 とはいえ、自民党が都議選で大幅に議席を減らせば都選出の国会議員は次期衆院選で手足を失うことになる。都選出の衆院議員は「代理戦争で小池氏の勢いが明らかになった。反都連執行部の都議は小池氏に近づこうと必死になる」と語り、「自民党離れ」と「小池詣で」の加速を予告した。守勢に立たされた自民党は戦略の練り直しを迫られるが、妙案は見つかっていない。(岡田浩明)