黒田日銀総裁 残り1年、緩和出口描けず 米利上げが圧力

 
残り任期が1年余りとなった日銀の黒田東彦総裁=16日、日銀本店

 日銀の黒田東彦総裁が20日で就任4年を迎えた。大規模な金融緩和を手じまいする出口が見えないまま、米国が利上げに動き、長期金利を低く抑えようとしている日銀の政策運営は困難さを増している。残る1年余りの任期中に、大規模緩和を終える将来展望を示せるかどうかが焦点となる。

 「強力な金融緩和をしっかりと推進していく」。黒田氏は16日の記者会見で、住宅ローンや企業向け融資の目安となる長期金利を0%程度に抑える現状の緩和策を粘り強く続けると強調した。デフレ脱却へ日銀が目指す物価上昇率2%になかなか届かないためだ。

 物価が思惑通りに上向けば、日銀は緩和の出口を探ることになる。市場ではまず長期金利の誘導目標を0%から引き上げるとの見方が多い。ただ黒田氏は、金利目標の引き上げは物価に限らず経済の動向を踏まえて総合的に判断するとだけ説明。出口の議論は時期尚早だとし政策運営の将来像を明示していない。

 現状は、物価や景気が十分改善するまで、日銀が現行の金融緩和策を続けられるかどうかさえ見通せていない。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを続ければ米長期金利は上がり、日本の長期金利にも上昇圧力がかかる。金利を低く抑えようとする日銀の市場操作は難しくなる。

 金融緩和を続ければ円安ドル高が進み、対日貿易赤字の拡大に神経をとがらすトランプ米政権を刺激する恐れがある。過去に予想外の政策変更を連発した日銀への不信感もあり、市場では「米政権を意識し金利を低く抑えにくくなる」(大手資産運用会社)として日銀が年内に金利目標を引き上げるとの観測がある。

 緩和継続は財政規律の緩みを助長する危険性もはらむ。政府にとっては借金の利払い負担が軽くなるため、国債発行への抵抗が弱くなる。元日銀理事で富士通総研エグゼクティブ・フェローの早川英男氏は「大規模緩和が、結果として消費税再増税の延期など財政規律の喪失を手助けしてしまった」と指摘している。