政府は来年4月に任期が切れる黒田東彦日銀総裁(72)の後任候補の絞り込みを今後、本格化する。金融緩和路線を踏襲する人物を選ぶ見通しだが、次期総裁は経済情勢次第で政策転換が迫られるだけに、かじ取りは困難になりそうだ。
安倍晋三首相は、次期総裁人事をめぐり「黒田氏の路線をしっかりと進めてほしい」と述べ、大規模な金融緩和の継続を求めている。ただ経済が好転すれば現状の緩和策の縮小が必要になる局面もありそうで、政府と調整する手腕が問われる。
総裁ポストは日銀か財務省の出身者が就く場合がほとんどだ。今回、日銀からは中曽宏副総裁(63)や、黒田総裁の金融緩和策の立案に携わった雨宮正佳理事(61)の現職2人が候補に上る。
財務省出身者では、元財務事務次官で日本たばこ産業(JT)会長の丹呉泰健氏(66)、同じく元次官でIT大手インターネットイニシアティブ社長の勝栄二郎氏(66)のほか、森信親金融庁長官(60)の名前も取り沙汰されている。
それ以外では、安倍首相のブレーンとして知られる本田悦朗駐スイス大使(62)や、伊藤隆敏米コロンビア大教授(66)が有力視されている。
市場では黒田総裁の再任を推す声もある。しかし、これまで物価上昇の目標達成時期を先送りしており、再任の場合は反発も出そうだ。