不動産投信、地方物件に照準 一方で人口減がリスクに
公示地価
屋上観覧車がシンボルの札幌の商業施設「nORBESA(ノルベサ)」
平成29年の公示地価は札幌や仙台、福岡など地方中枢都市の上昇幅が三大都市圏(東京、大阪、名古屋)を上回った。日銀のマイナス金利政策を背景に国債からシフトした不動産投資マネーが利回りの高い地方の商業ビルなどに集まっている。一方で人口減少などのリスク懸念はぬぐえず、地価上昇の流れが地方に定着するかは見通せない。(佐久間修志)
札幌市中央区の地下鉄大通駅周辺。ビジネスマンや買い物客でにぎわうエリアで高い集客を誇るのが、屋上観覧車が人気の商業ビル「nORBESA(ノルベサ)」。近年は訪日外国人客も急増し「7~8年前と比べ賃料は2割程度上がった」(運営会社)。札幌市の商業地の上昇率は6・1%と東京23区を上回る。
地方都市の地価上昇を牽(けん)引(いん)するのはマイナス金利を背景に投資マネーを集める不動産投資信託「リート」だ。不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)の大東雄人アソシエイトダイレクターは「地価の高騰する都心オフィスは賃料を上げても利回りを確保しにくい。リートは地方物件への投資を増やしている」と分析する。
2月にノルベサを85億円で取得した野村不動産マスターファンド投資法人の想定利回りは5%で都心オフィスより1・5ポイント前後も高い。担当役員は「今後の再開発や賃料上昇も見込める好物件」と口元を緩める。
ただ、地方の商業施設は人口減少で業績悪化のリスクも抱える。
商業施設特化型のリートは昨年3月、JR岡山駅に近い商業施設を売却したが、約4・7億円の減損損失を余儀なくされた。ラサール不動産投資顧問の高野靖央ストラテジストは「リスクを取りにくい状況が続けば、地方物件は厳しい選別の目にさらされる」と警鐘を鳴らす。
関連記事