なぜ獣医学部の定員は長きにわたり抑制されてきたのか 規制で縛る愚 加計学園獣医学部

 
学校法人「加計学園」の岡山理科大獣医学部=6日午後、愛媛県今治市(本社ヘリから)

 認可答申を受け、来春開学する見通しとなった加計学園の獣医学部をめぐっては、野党が特別国会で設置に至る手続きなどを追及する構えだが、そろそろ問題の本質に切り込むべきではないか。

 なぜ獣医学部の定員抑制が長きにわたり行われてきたのか-という点だ。獣医学部設置は昭和41年以降なく、入学定員も50年から16大学930人態勢で変わらない。獣医師数は総体として足りているとする農林水産省の見解を踏まえ、文部科学省は定員抑制方針を維持しているのだ。

 ただ、農水省が平成19年にまとめた獣医師の需給に関する報告書では、新規参入者の過半数がペットを診る小動物獣医師を選択する一方、家畜を診る産業獣医師や公衆衛生などを担う公務員獣医師の確保が困難になると指摘している。

 文科省の専門家会議も26年、入学定員について「状況に応じて適切な時期に見直す必要がある」と規制緩和の方向性を打ち出しており、その提言の意義は小さくない。

 獣医学部と同じく定員抑制が行われてきた医学部では、地方の医師不足対策として例外的に定員増が認められている。教員養成学部も教員需要の動向などを配慮して17年に抑制方針が撤廃され、中教審の報告書はそのメリットとして自由な競争的環境の醸成と質向上への各大学の特色ある取り組みが期待される-と指摘している。妥当な見解だ。

 日本の獣医学部は「定員規模の小さい寺子屋が点在している状況」(関係者)といわれ、定員や教員が多く教育環境も充実している欧米レベルに水をあけられているのが現状だ。教育の質向上の足かせになりかねない定員抑制問題をこれ以上放置すべきではない。(花房壮)