こうして、09年11月から、中国の消費者物価指数はうなぎ上りの傾向となった。それは当時の0・6%から10年11月の5・1%に上がり、食品を中心に物価の大幅な上昇が見られた。
今年2月、政府当局は1月の消費者物価指数が「4・9%に止(とど)まった」と発表したが、実はそれは、政府による情報操作の結果にすぎない。当局が1月の消費者物価指数を算出する際、価格の上昇がもっとも激しかった食品の占める比率を意図的に引き下げたことで全体の数値を低めた。
姑息(こそく)な情報操作が行われたことは、逆にインフレ問題の深刻さとそれに対する政府の危機感の高まりを露呈した。数億人単位の貧困層が存在し国民の不満が高まっている中で、本格的なインフレの発生=物価の暴騰は直ちに社会的大混乱の発生につながりかねない。北京はまさに、それを恐れているのである。
そして、折からの中東革命の発生はまた、北京の抱く恐怖感を増幅させた。中国と中東諸国が共通して抱えている貧富の格差の拡大や腐敗の蔓延(まんえん)などの社会問題に加えて、インフレ率の大幅な上昇もまた、中東諸国の革命を引き起こす一因となったからだ。
まさにこのような背景下で、中国政府は冒頭に記した一連の金融引き締め策に踏み切ったわけだが、それは結果的に、中国経済の高度成長の終焉(しゅうえん)を告げるターニングポイントとなる可能性が大きい。