【必読!中国ビジネス】第27回 「主要都市 ここが狙い目」(7) (1/3ページ)

2011.10.31 05:00

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 ■香港 「中国だけど外国」こその優位性

 香港は中国ですが、外国です。1997年の中国返還後も、いわゆる「一国二制度」に基づいて経済・法律・社会制度を返還前のまま維持しています。中国ではあるが外国という扱いなので、中国-香港間を移動するときは入国管理局でパスポートを提示しなければいけません。また、香港から中国に輸入する際には関税と増値税がかかります。旅行者にとってはひどく不便な「一国二制度」ですが、ビジネスではこの制度が都合よく働くことがあります。

 ◆人民元で決済可

 利点の一つは人民元決済ができることです。他の国でも人民元による決済はできますが、その後に他の通貨への兌換(だかん)を行うことが容易ではありません。しかし、香港は「中国である」ため、対中取引が非常に多いことから人民元の需要が高く、元建て決済を行った後で他の通貨への兌換も容易に行えます。

 昨今の円高ドル安の状況下で、中国・香港・日本に拠点がある企業は、中国-香港間の取引を元で、香港-日本間の取引は円で行う動きが広がっています。香港に為替リスクを集約することにより、為替予約やデリバティブといった金融商品を購入することなく、ある一定の為替変動リスク軽減効果が期待できるからです。

 ◆さまざまな商流

 香港のもう一つの魅力は多様な商流と人材です。

 香港は、1839年のアヘン戦争を経て1842年の南京条約によってイギリスの領土となりました。南京条約で広州・福州・廈門・寧波・上海の5港の開港を決めた事実から、この戦争におけるイギリス側の目的の一つが中国への貿易(輸出)であったことがうかがえます。その後、イギリスは香港をアジア地区における貿易拠点として活用し、経済的な位置づけは中国に返還された現在でも変わっていないといえるでしょう。