暴落をもたらした最大の原因はやはり、中国政府がインフレ抑制のために実施してきた金融引き締め政策である。中国人民銀行は10月28日、銀行の不動産業者や住宅購入者向け融資が1~9月には前年同期比43%も減少したと発表したが、まさにその結果として、不動産への投機資金が急速に枯渇して価格の暴落が起きる事態となった。
今年3月3日掲載の本欄は「史上最大の不動産バブルが膨らんできている中、本格的な金融引き締め政策の実施は、いや応なくバブルの崩壊を引き起こすに違いない」との予測を行ったが、8カ月後の今、状況はまさにこの「石平予言」の通りとなっている。
そして今後においてもインフレの傾向が続くだろうから、政府としては今までの金融引き締め策をおおむね堅持していくしかない。
そうすると、不動産価格の暴落はもはや誰も止められない。世界経済史上最大の崩壊劇は今、われわれの目の前で演じられているのである。
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【プロフィル】石平 せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。