台北の夜空に浮かぶ超高層ビル「台北101」。中国人観光客にも人気の観光スポットだ(片倉佳史氏撮影)【拡大】
観光客は当初、1日当たり300人程度だったが、10年には約10倍の3199人に拡大。昨年から受け入れ上限は1日当たり4000人にまで引き上げられた。
消費動向も気になるところだが、解禁以降、昨年上期までに中国人訪問客の総消費額は約2033億台湾元(約5450億円)に達している。旅行客に限ってみても約1197億台湾元の外貨収入を台湾に与えており、移動や滞在に伴う周辺利益や観光産業以外の波及効果も含めると、やはり経済効果は大きい。
中国人の旺盛な購買欲は日本でも注目されるが、台湾でも土産物のパイナップルケーキを一度に20箱以上も買い込む人も珍しくない。こうした中国人の消費力に押され、台湾におけるパイナップルケーキの製造高は、解禁の前後を比べると10倍以上に成長したとも言われ、その“特需”ぶりが理解できる。
政治的利用への不安
中国からの旅行者を積極的に受け入れ、経済の活性化を図るというプランは、台湾の馬英九政権が発足した当時から打ち出されていた。昨年は約178万人もの中国人が台湾を訪れている。このうち観光目的の来訪者は129万人で、すでに日本からの渡航者数を超えている。