台湾の悩ましい“中国人特需” 旺盛な購買力と際立つ傍若無人ぶり (3/3ページ)

2012.10.16 09:00

台北の夜空に浮かぶ超高層ビル「台北101」。中国人観光客にも人気の観光スポットだ(片倉佳史氏撮影)

台北の夜空に浮かぶ超高層ビル「台北101」。中国人観光客にも人気の観光スポットだ(片倉佳史氏撮影)【拡大】

 もちろん、弊害と言えるものも少なくはないようだ。「粗暴な振る舞い、大声で話す、試食品や試供品を大量に持ち去る」と、急増する中国人観光客に批判的な世論があるのも事実だ。

 また、渡航解禁によって利益を得られるのは観光業者などの特定業界に限られており、社会的全体が受けるメリットは大きくないという声や、景観の破壊や社会不安の増長といった否定的な側面も指摘されている。

 激増する中国人訪問客によって、台湾の市場そのものが変容を強いられる危惧もあるが、中国が台湾への渡航者数を意図的に制御して、これを政治的な武器として利用されることへの不安もある。

 例えば、09年に台湾南部の高雄市がチベット仏教の最高指導者、ダライラマ14世を招いた際、中国からの団体旅行者のキャンセルが相次ぎ、その直後にホテルで3000室もの空室が出るというケースがあった。

 日本と台湾、そして中国の動きは、旅行業界ひとつ取り上げても、東アジアの情勢を見ていく上で実に興味深いものがある。今後、台湾の地で繰り広げられる旅行者の動きからは目が離せそうにない。(台湾在住作家 片倉佳史)


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